SAS Institute Japanは、プレス向けに「ビジネス戦略発表会」を開催し、代表取締役社長の吉田仁志氏が、ビジネス概況と2011の戦略について発表した。

米SAS Instituteのフェロー、アラン・ラッセル氏

発表会では、来日中の米SAS Instituteのフェロー、アラン・ラッセル氏が挨拶。同氏は、「BI(Business Intelligence)は現状何が起こっているのかを知る上で助けになるが、なぜそれが起こっているのか、今後何をすべきかといった意思決定の助けにはならない。最近のデータ量は膨大で、ソーシャルネットワークのデータや調査結果のデータもある。このようなデータを基に大きな意思決定をするためにAnalyticsが行われるが、これは個人では難しい。正しい意思決定をするためには組織やテクノロジーが必要だ。それによって、意思決定の透明性にも貢献できる。ITはこれまで自動化、レポーティングで使われてきたが、今は、透明性を高めるため、データを活用するための利用に変化している」と述べた。

代表取締役社長 吉田仁志氏

続いて登壇した吉田氏は、2011年の強化ポイントとして、「Core Solution(コアソリューション」、「Partnership(パートナーシップ)」、「Regionalization(地域化)」の3点を挙げた。

同氏はCore Solutionについて、「すべての企業に分析を」という目標を掲げた後、「世の中は常に変化しており、消費者行動を分析しないと変化に堪えていけない。先進国のGDPは成長を期待できないため、今後はパイの奪い合いになる。そのため、分析というのが武器になる」とAnalyticsの重要性を強調した。

そして具体的な施策として、「SAS Event Based Marketing」をこれまでのメガバンクや大手地銀に加え、地方銀行やカード会社、保険会社にも浸透を図り、金融業界のデファクトになるよう推進していくという点と、「SAS Social Media Analytics」を単にソーシャルメディアの傾聴分析だけでなく、業務ソリューションと複合化させることで、主に通信、製造、流通に推進していくという2点を挙げた。

「SAS Event Based Marketing」のデファクト化

「SAS Social Media Analytics」の導入加速

富士通 マーケティング本部 ソリューション推進統括本部 統括部長 大島昭氏

Partnershipでは、6月に締結した富士通とのパートナーシップをベースに、BA(Business Analytics)ソリューションを推進していく。富士通では、これまでBIを行ってきた富士通総研に、SASを資格を取得した社員を増強した専門部隊を設けるという。ゲストとして講演した富士通 マーケティング本部 ソリューション推進統括本部 統括部長 大島昭氏は、「富士通は基幹業務システムを数多く手がけており、そこには基幹業務のデータが貯まっている。SASさんとの協業によって、これらを意思決定に役立てることができる」とした。

富士通との協業のスキーム

そして、「Regionalization」では、日本、韓国、中国、香港、台湾の6か国を北アジアとし、それぞれの国が得意としているベストプラクティスを共有し、他国にも展開していく。なお、6月1日付けで、吉田氏が北アジアの地域統括責任者に就任している。

ベストプラクティスの共有

また、吉田氏は好調な業績の背景として、顧客満足度の高さがある点を指摘し、「 SASは今年で創立35周年を迎えるが、ずっと増収・増益を続けている。SASのパッケージモデルはサポートと一体化され、レンタルで提供しており、翌年お客様に契約していただかないと売り上げが立たない」と述べ、製品とサポートの一体販売が、製品品質の顧客満足を支えているとした。

高い顧客満足度