住友大阪セメントは、カナダのHydro-Quebec、カナダ・モントリオール大学、仏国立科学研究センターのそれぞれより、オリビン系リチウムイオン電池正極材料を全世界で製造販売できる特許ライセンスを取得したことを発表した。

対象特許は、「オリビン系リチウムイオン電池正極材料に関する基本特許」ならびに「カーボンコート(炭素被膜)処理に関する改良特許」の2種類で、アメリカ、欧州、アジアなどの各国に出願された全特許をパッケージとしてまとめたもの。

同社はリチウムイオン電池正極材料の本格的事業拡大に向け、ベトナムで年産2000t能力のリン酸鉄リチウム新工場建設を決定しているが、今回の特許ライセンスの取得により全世界で正極材料の製造販売が可能となり、またユーザー各社も同社の正極材料を使用し全世界で電池を製造販売することが可能となる。

また、同社はリン酸鉄リチウムにおいて、ほぼ理論値通りの電池特性を達成しているほか、リン酸マンガンリチウムの開発にも成功しており、それらに関する独自のナノ粒子合成技術を活かした特許を複数所有している。

今回取得した特許はリン酸鉄リチウムだけでなく次期正極材料として注目されているリン酸マンガンリチウムにも不可欠な特許であり、自社の保有する特許と双方を活用することで、特許面における強固な体制を築くことができるようになると同社では説明している。

なお、今後は、こうした特許体制をもとに、リン酸鉄リチウムの量産のみならず、リン酸マンガンリチウムをはじめとした高性能製品の開発を進め、リチウムイオン電池正極材料の事業拡大を進めていく計画としている。