三菱電機 生産システム本部 環境推進本部長 山下光二氏 |
三菱電機は7月1日、同社が2009年度から2011年度までの3年間の環境経営計画としている「第6次環境計画」において2年目の活動となる2010年度の環境経営活動の成果を発表した。
同社が2010年度の主な成果として提示しているのは3つ。1つ目は「生産時のCO2削減量を計画の3.3万tに対し2000t上回る3.5万tを達成」というもの。生産時のCO2排出総量は、2009年度はリーマンショックもあり、85.5万t(削減量3.4万t)となり、2010年度は景気回復に伴う海外での生産量の増加があったが、さらなる削減活動により、排出総量96.6万t(削減量3.5万t)を実現した。2011年度の削減量見込みは3.4万t、排出総量は96万tとなり、「当初3年間で削減量を9.5万tと見積もっていたが、今回、10.3万tまで増加できる見通しとなった。また、2011年度の削減量も現時点での見積もりであり、さらに積み増すこともできると考えている」(三菱電機 生産システム本部 環境推進本部長 山下光二氏)とする。
また、なぜ、削減量が増えたのかについて、山下氏は、「"生産ラインの改善"と"ユーティリティ機器"に分けて検討して生産ラインの改善を進めてきた。2010年度の削減量は、この2つで分けた場合、計画に対して生産ラインの方を減らした。ユーティリティの実績は計画比で達成できていないように見えるが、これは年度ズレによる差異であり、実際は計画レベルまで減らしている」(同)と、生産ラインにおけるさまざまな施策の成果とする。
具体的には、まずエコモニタをラインごとに導入し、何がどの程度のエネルギーを何時消費しているのかを「見える化」した。これにより、時間単位で原単位を把握できるようになり、何が原因でエネルギー消費が高くなっているのかを分かるようになり、ラインごとの無駄を減らすことができるようになったという。「例えば、冷熱システム製作所では、見える化で空運転をしていることが発覚、ヒーター電源のオン/オフ時間の変更などで2.35tの削減を達成した。CO2の排出量削減はこうした小さなことの積み重ね。1件1件あたりではトン・レベルの話で、それらを積み重ねて達成してきた」と、地道な作業の積み重ねが大きな成果となったことを強調する。
2つ目が「製品使用時のCO2削減が対象84製品に拡大し、平均で目標削減率25%を達成」というもの。2009年度は70製品で平均削減率23%であり、それが2010年度には84製品で25%となった。当初の目標は80製品で25%であったことから、それを上回る結果となったという。あくまで最終的な目標は2020年度で30%の平均削減量であるが、2010年度の改善点としては、B to B、B to Cともにエアコンのインバータなどが削減率の向上に寄与したという。
今後は、「製品ライフまで含めて、どの程度CO2を削減できるのかも評価したい」としたほか、自社製品の省エネ性能が向上したことで、どの程度、社会に対してCO2の削減に貢献したかを試算しか結果、2009年度では2100万t、2010年度ではパワーモジュールやインバータの進化により3600万tのCO2を削減することに貢献できたとしており、今後は、こうした手法を用いた値も公表していきたいとした。
そして3つ目が「廃棄物の最終処分率が、国内関係会社まで含めてゼロエミッションを達成」したこと。同社単独では7年連続でセロエミッション(最終処分率0.1%がゼロエミッションの定義)を達成しており、国内関係会社まで含めた場合でも2009年度の0.21%から0.04%とゼロエミッションをクリアでき、海外関係会社まで含めても、2009年度の3.6%に対し、2010年度で1.8%となり、第6次環計画目標の3%を1年前倒しで達成したこととなる。
このゼロエミッションとしての2010年度の主な取り組みは、焼却設備の廃止や陶器くず類のリサイクル、廃砂のリサイクル、梱包材のリサイクル/分別回収など。特に海外関係会社では、梱包材の中にダンボールやクッション材がそのまま入っているため、分けられずそのまま埋め立て処分をしていたのを、分けてリサイクルに回せるような取り組みなどを進めているという。
また、2011年2月にはインド・ニューデリーで開催されたエコプロダクツ国際展2011に出展したほか、同時期に開催したインドの総合販売会社「Mitsubishi Electric India」の開所式において、インドのビジネスパートナーにも同社が掲げる「エコチェンジ」を説明しており、今後もグローバルに向けて環境を意識した経営を推進していくことをアピールしていくとした。