米Googleは6月24日 (現地時間)、電力消費モニターサービス「Google PowerMeter」と医療情報管理サービス「Google Health」を終了させることを発表した。PowerMeterは今年9月16日まで、Healthは来年1月1日までとなる。

どちらも「消費者の賢い選択」の実現を目指したサービスと言える。より多くの情報に人々が効率的にアクセスできるようになれば、消費者の選択肢が広がり、省エネや電気代の節約 (PowerMeter)または健康管理の向上 (Health)につながるというのがGoogleの考えだ。どちらも発表直後に大きな話題を呼び、Googleも「2つの製品は影響の大きなモデルとして運用されてきた」と、電力分野と医療分野において消費者にデータを活用する意識を植え付けたことに一定の評価を与えている。だが、同社が当初思い描いたようなサービスの展開には結びつかなかった。

PowerMeterはGoogle.orgのプロジェクトの1つで、2009年にサービス提供が始まった。ユーザーは可視化されたスマートメーターからのデータを通じて、家庭の電力消費状況を常に把握できる。ユーザーがリアルタイムかつ詳細なデータに触れることで、使用していない時の節約や効率の悪い電化製品の買い換えなど、ユーザー個々が生活の中できめ細かな節電を実行できるようになる。こうしたGoogleの試みに景気後退の影響もあり、ユーザー自身が電力消費データを確認することの重要性が消費者に浸透し始め、カリフォルニア州やテキサス州ではスマートメーターの大規模導入が検討されている。ただしPowerMeter自体は、Googleが望んだようなペースで採用が広がらなかった。GoogleのGreen Energy CzarのBill Weihl氏は、「PowerMeterで成し遂げたことにわれわれは満足しており、この分野で次に開発されるものに期待したい」とコメントしている。しかしながら、米国市場においてスマートメーター普及の旗振り役だったGoogleの撤退の影響を懸念する声も少なくない。

2008年に発表されたHealthは、医療機関からの検査結果や処方箋などをインポートし、ユーザーが自身の医療データ/ヘルスデータを一カ所で管理できるサービスだ。異なる医療機関の間で、過去の医療記録の共有を可能にするサービスでもある。

Healthを通じてGoogleは医療・ヘルス分野におけるコンシューマ中心のアプローチの実現を試みたが、ユーザーが技術に関心を持つ人や、フィットネスやエクササイズに熱心な人たちにとどまった。「数百万人単位の日常的な健康維持に広げる方法を見いだせなかった」とGoogle HealthのAaron Brown氏。サービスは来年1月1日までだが、2013年1月1日まではデータをダウンロードできるようにするという。