Spacetimeアーキテクチャに基づく3-D Programmable PLD(3PLD)の提供を行う半導体ベンチャーの米Tabulaは、日本市場でのビジネスを加速させる拠点として、2011年6月1日付けで日本事務所を東京・品川に開設したことを発表した。
同事務所のスタッフとして、元ザイリンクスのスタッフであった城利隆氏、荒井雅氏、白土神一氏の3人が加わっており、彼らの有するFPGA関連の知識を活用する形で、日本市場での事業の加速を狙う。
すでに無線基地局向けに複数のベンダが技術評価を行っているほか、今後は日本地域の強みである映像/放送機器、産業機器、医療/検査機器などの分野の開拓も目指す。
また、同社は2011年2月にルネサスイーストンと日本におけるデザインサービスを主体としたVAR(付加価値販売)および販売代理店契約を締結しており、今回の事務所開設により、同社との連携が強化され、サポート能力の強化などにもつながるとしている。
同社の提供する3PLD「ABAX」は、ダイナミックリコンフィギュラブル技術を活用したPLD。回路を構築した1つのフィールドをFold 0~Fold 7までの8つのレイヤに切り分け、それを順に切り替えながら動作させることで、小面積での演算処理を行うことを可能とする。
8つのレイヤを並行して動作させるため、ユーザークロックの8倍の内部クロックに同期する形で、回路の動的再構成が可能。そのため、回路規模を小さくでき、大手FPGAベンダのハイエンド製品の価格を100とした場合、20程度までデバイスコストを低減できると同社では説明している。
また、一般的なFPGAの使い方としては、外部DRAMをFPGAに接続して用いるが、内蔵メモリとして5.5MBの容量を確保しており、それを用いることで、外部メモリとのアクセスをなくし、高速な処理を実現することが可能だという。
さらに、ツールとしてはクラウドベースの設計ツール「Stylus」が米国などでは提供されているが、国内での提供は今のところ予定しておらず、ルネサスイーストンによる受託開発をメインに進めていく方針としている。
ABAXの第1弾製品となる4品種「A1EC02」「A1EC03」「A1EC04」「A1EC06」は2011年3月に正式発表され、現在はA1EC04が量産出荷を行っているほか、A1EC02/EC03については年内にサンプル出荷が開始される予定。いずれもTSMCの40nmプロセスで製造されている。
また、ABAXのほか、サーチエンジン、40Gbpsイーサネットブリッジ、100GbpsイーサネットブリッジなどのIPを搭載したASAP(ASSP)製品の提供も行っており、こうしたIPをABAXに用いることも可能となっている。
なお、同社のファウンダーでCTOを務めるのはCadence Design SystemsのCTOなどを担当したSteve Teig氏、CEOはMatrix SemiconductorのCEOやXilinxのSenior Vice President(SVP)としてVirtexなどを担当したDennis Segers氏がそれぞれ担当しており、そのほかのVPにもXilinxやAltera、Matrixなどにいたスタッフが多く参加しているほか、ボードメンバーにはNetLogicのExecutive VP & GMのBehrooz Adbi氏なども参加、すでに4回の資金調達を達成しており、4回目となるシリーズDでは1億800万ドルを調達している。