Analog Devices(ADI)は、ノイズの多い工業用動作環境で微小な信号を高精度で測定することが可能となる低ノイズで低消費電力、低歪みの計装アンプ「AD8429」を発表した。すでに量産出荷を開始しており、1000個受注時の単価は3.50ドル(参考価格)としている。
同製品は、同社の低ドリフト低消費電力計装アンプ「AD620」をベースに開発したもの。高速動作をする電流フィードバック・アーキテクチャを利用することで、競合製品比で30%以上速い15MHzの帯域幅(ゲイン=1)と22V/μVのスルーレートを提供することを可能としている。
また、-130dBの低歪みも実現しており、ヘルスケア計測機器、高精度データ・アクイジション装置、工業用振動解析といった、小型化、低消費電力化、低歪みという性能が求められるアプリケーション向けに対応することが可能だ。
動作音頭範囲は-40℃から+125℃という拡張工業用温度範囲に対応。入力ノイズと出力ノイズはそれぞれ1nV/√Hzと45nV/√Hzを実現しているほか、他の計装アンプがバイアス電流12,000nAなのに対し、入力バイアス電流50nAを実現し、入力オフセット電圧も100μVと、他のアンプに比べ2桁から3桁のレベルで低減することに成功している。
CMRR(同相ノイズ除去比)は、DCモード動作時90dB、ACモード動作時80dBで、不要なノイズによって起こる微小信号のアクイジションにおける間違いを防止することが可能。必要な場合には、ゲインを高めるとCMMRも向上するため、優れた不要ノイズ除去を実現するだけでなく、通常の計装アンプを超える周波数で、高いCMRRと信頼性の両方を実現することが可能となっている。
同社では、同製品を活用することで、アナログ設計技術者は±4Vから±18Vの2電源を特長とする多用途でフレキシブルな計装アンプを開発できるようになるとしている。なお、ゲインは1本の抵抗によって1から10,000まで設定が可能で、リファレンス・ピンはユーザが出力電圧をオフセットにすることもでき、これは単一電源のシグナルチェーンとインタフェースを取る際の、出力レベルのシフトに活用することができるという。