米Crocus Technologyは、同社の独自技術「Thermally Assisted Switching(TAS)」をスケーラブル・エボリューションしたMagnetic-Logic-Unit(MLU)アーキテクチャを発表した。

同アーキテクチャは、先端ロジックとメモリ機能を実装することを可能とするもの。従来、磁気メモリ(MRAM)は基本的にそれぞれのメモリセルが積層構造の中に2層のメモリレイヤを収容する多数のメモリセル群列からなっている。このうち、レファレンスレイヤと呼ばれる第1レイヤは、常に一方向に磁化し、ストレージレイヤと呼ばれる第2レイヤは、レファレンスレイヤーに「1」が格納されるとレファレンスレイヤと同じ方向に磁化し、「0」が格納されると反対方向に磁化する。

MLUは、通常動作時に格納データを安定させることができるTAS技術に基づいており、この安定性を利用することで、MLUアーキテクチャーのレファレンスレイヤは、従来のNOR関数の実装には固定磁化、NAND関数の実装にはフローティング磁化、ないしはXOR関数の実装には駆動磁化を選択して設定できるため、フラッシュメモリで可能であったNAND設定の実装を磁気メモリでも可能にしたことで、MLU・NANDメモリは、従来の磁気メモリに比べて2倍から4倍の密度にすることが可能だという。

また、「Match-In-Place」と同社が呼ぶMLU・XORが持つ機密性を備えた比較・暗号機能を用いると、スマートカード、身分証明カード、SIMカード、近距離無線通信(NFC)機器の不正使用を防止することが可能となるという。さらに、ネットワークルーティング向けアプリケーションや高性能コンピューティングに必要な検索・比較機能も同機能は実装しており、従来のCMOSハードウェアのサーチ・プロセッサに比べ最大50倍の密度を実現することができるという。

なお、MLUアーキテクチャは同社が現在提供しているウェハ製造工程と完全互換性を実現しているという。製造は、ファウンドリのTowerJazz Semiconductorが130nmプロセスのMLUベース製品を製造するほか、新設したロシア子会社Crocus Nano Electronics(CNE)にて90nm、65nm、45nmおよびより微細なプロセス製品の大量生産を行っていく予定としている。