Freescale Semiconductorは、2011年6月20日~23日までテキサス州サンアントニオにて開催しているFreescale Technology Forum Americas(FTF Americas 2011)において、「S12 MagniV(エス12・マグニヴィ)」ミクスドシグナル・マイクロコントローラ・ファミリとして初めての1チップ・デバイス「S12VR64」を発表した。
同製品は、自動車ボディ・ネットワーク環境でローカル・インタコネクト・ネットワーク(LIN)に接続される、ウィンドウ制御やサンルーフ制御のアプリケーションを対象としたDCモータでの使用を目的としたもの。従来のカーエレクトロニクスの設計では、高電圧プロセスで製造されたバッテリおよびパワー・アクチュエータ出力に接続するデバイスと、低電圧デジタル・ロジック・プロセスで製造されたマイクロコントローラの複数のデバイスが必要とされていたが、同製品を用いることで、LIN物理層、電圧レギュレータ、およびローサイドとハイサイドのドライバなどのリレー駆動の電気モータ制御に必要なさまざまなデバイスを、1つのデバイスに集積することが可能となる。
この集積を実現したのが同社の「LL18UHVテクノロジ」で、同社の低リークの0.18μm(LL18)製造プロセスを利用して、40Vアナログ、不揮発性メモリ(NVM)、およびデジタル・ロジックを単一のシリコン・チップ上に統合しており、それにより、現行の設計で最大4個のチップに相当する性能を備えることに成功している。
同ファミリは、同社の16ビットS12マイクロコントローラをベースとして、幅広いアプリケーションでのソフトウェア互換性とツールの再利用を実現したもので、今回のS12VR64のほか、S12マイクロコントローラとSMARTMOSアナログ制御ICの統合デバイスであるSiPソリューション(MM912F634、MM912G634、MM912H634)なども用意されている。
また、同社では同ファミリを拡充して、マイクロコントローラ、車載電圧レギュレータ、LINとCAN物理層、モータ・ドライバなど多様な機能を1チップ、または2つのダイが1パッケージ化されたソリューションにて、AEC-Q100認証の多様な製品をラインナップする計画としており、同ファミリの次のデバイスは、ブラシレスDCモータ制御、LED照明、ステッパ・モータ制御、LINスレーブ汎用ノード、または汎用マイクロコントローラなどのアプリケーションと高電圧I/Oを結合する1チップ・ソリューションを予定しているという。
なお、同製品はすでにサンプル出荷を開始しているほか、2012年の早期に車載規格のAEC-100認証を取得する見込みで、1万個購入時の1個あたりの参考価格は1.65ドルとなっている。