Freescale Semiconductorは、2011年6月20日~23日までテキサス州サンアントニオにて開催しているFreescale Technology Forum Americas(FTF Americas 2011)において、次世代の「QorIQ(コア・アイキュー)」マルチコア・プラットフォームとして、AMP(Advanced Multiprocessing)シリーズを発表した。
同シリーズは、マルチスレッド対応の新設計の64ビットPower Architectureコア、28nmプロセス技術、最大24個の仮想コア、革新的なアクセラレーション・エンジン、および高度な電力管理の一体化を実現しており、現行世代のフラッグシップ製品である8コアの「QorIQ P4080」と比べて最大4倍の性能を発揮することが可能だ。
コアには最大2.5GHzで動作するマルチスレッド対応の新しい64ビットPower Architecture e6500コアを採用している。同社では同コアを、ハイエンド制御プレーンおよび高性能データ・プレーンのいずれのアプリケーションに対しても理想的なコアとしており、AMPシリーズの中核技術としている。また、同コアには、さまざまな領域で採用され、高帯域幅のデータ処理およびアルゴリズム重視の演算処理に対してDSPレベルの性能を提供するなどの利点を提供するAltiVecベクタ・プロセッシング・ユニットが機能拡張され搭載されている。
また、プログラム可能なe6500コアの補完として、さまざまな高性能アクセラレーション・エンジンと機能強化されたセキュリティ・エンジン、パターン・マッチング・エンジン、圧縮/解凍エンジンをはじめとするコプロセッシング技術、およびデータ・パス・アクセラレーション・アーキテクチャ(DPAA)技術などが搭載されている。AMPシリーズの圧縮/解凍技術は20Gbpsの性能を備えており、新設計のSEC 5.0暗号化アクセラレータは最大40 Gbpsの性能でLTEやIPSec、SSLなどのプロトコル処理をオフロードし、同時に現在および将来の無線/有線アルゴリズムに対して暗号化単体で140Gbps前後のハードウェア・アクセラレーションを達成することが可能だ。そのほか、正規表現アクセラレーション、128ビットSIMDデータのプリフェッチ、インラインの解析と分類、およびQoS機能をサポートするアクセラレータ/オフロード技術も備えている。
さらに、AMPシリーズは、先進の電力管理システムを活用してエネルギー消費を抑制することが可能。電力管理システムは複数のモードを持つ電力スイッチを内蔵しており、コアおよび他のプロセッシング・ユニットの電力消費を個別に正確に調整することができる。
加えて、現行世代のQorIQに搭載されるCoreNetインターコネクト・ファブリック、キャッシュ・コヒーレンシを維持するメモリ階層、最適な性能を実現するハードウェア・ベースの仮想化、およびデバイス内部の複雑なソフトウェア・プロセスの細部まで可視化するダイナミックなオンチップ・デバッグ技術など、さまざまな機能も継承している。
AMPシリーズは、サービス・プロバイダ向けルータやストレージ・ネットワークなど向けに最大6個の仮想コア、最大2.5 GHzの動作周波数、6MB以上のL2キャッシュを搭載した「制御プレーン・プロセッサ」、ルータ、スイッチ、アクセス・ゲートウェイ、軍事/航空宇宙アプリケーション向けに最大24個の仮想コア、最大2.0GHzの動作周波数、50GbpsのIPフォワーディング性能、アプリケーション・アクセラレーションを搭載した「ハイエンド・データ・プレーン・プロセッサ」、メディア・ゲートウェイ、ネットワーク接続ストレージ、統合サービス・ルータ向けに最大8個の仮想コア、最大1.6GHzの動作周波数、アプリケーション・アクセラレーションなどを搭載しながら10W未満の消費電力を実現した「ローエンド・データ・プレーン・プロセッサ」の3つのグレードが用意される予定。
最初の製品は「T4240」で、同製品は、デュアルスレッド対応の12個のe6500コアと多数のハードウェア・アクセラレータが統合されており、24スレッドを利用してハイエンド・データ・プレーンのプロセッシング・アプリケーションを処理することができる。デュアルスレッドの効率性、スレッドあたりDMIPの向上、およびより高速な動作周波数により、T4240は現行世代のQorIQ P4080に比べて4倍の処理性能、2倍以上の電力効率を達成しているほか、スレッド間でリソースの共有およびコピーをインテリジェントに実行する機能を備え、各コアにはより大容量のオンダイ・キャッシュを搭載している。製品の詳細は2011年中に公開される予定で、供給の開始は2012年の早期を予定しているほか、3つのグレードのプラットフォームに該当するAMP製品を四半期ごとに順次発表する予定としている。