IDC Japanは、2011年~2015年における従業員規模が999人以下の国内中堅中小企業IT市場における地域別/販売チャネル別の市場予測を行い、一部を公表した。

それによれば、2011年は東日本大震災の影響によって各地域でIT支出は減速し、前年比成長率はマイナス成長を予測。被災した北海道/東北地方では、建物/設備の損壊、社会インフラの毀損によって多くの企業で企業活動が停滞。また、その他の地域においてもサプライチェーンの寸断、消費者の「自粛」による消費マインドの低下によって多くの中堅中小企業で業績が悪化しているという。特に関東地方では、電力不足が多くの企業に大きな影響を及ぼしているという。

具体的には、2011年は北海道/東北地方は前年比成長率はマイナス16.2%、関東地方は同マイナス13.5%の2桁のマイナス成長を予測している。

一方、西日本地域は、生産を停止している東北地方の生産拠点の代替需要、および東北地方での復興需要などの拡大によって、多くの企業で業績は比較的早く回復するとしており、2011年のIT支出前年比成長率は、比較的小幅のマイナスにとどまり、近畿地方、九州/沖縄地方ではマイナス2.2%を予測している。

国内中堅中小企業IT市場 地域別前年比成長率予測:2009年~2012年(出典:IDC Japan)

ただIDCでは、2012年は、サプライチェーンの回復、復興需要の拡大によって中堅中小企業においても業績が回復する企業が更に増加することから、北海道/東北地方を除き各地域でプラス成長に回復するとみており、特に近畿地方は、IT支出前年比成長率は2.8%増、九州/沖縄地方は同2.8%増で、比較的高い成長率を予測している。

IDC Japan ITスペンディング マーケットアナリストの市村仁氏は、「ITベンダーは、各地域のIT支出動向の変化に対して迅速かつ適切なソリューションの提供を可能にする体制を構築することが更に重要となっている」と分析している。