古河電気工業(古河電工)は、世界最高クラスの電圧階級となる275kV超電導ケーブルを開発したことを発表した。
超電導ケーブルは、大容量の電力を低損失で送電することが可能であることから、従来技術では実現し得ない大容量でコンパクトなケーブルを可能とすると共に、省エネ・CO2削減に貢献できると期待されている。特に送電容量が高くなるほど省エネ効果も高くなることから、現在、発電所から消費地まで電力を送る基幹系の送電線として開発が進められている。
基幹系送電線としては国内では275kVが、海外においては220kV級が主流となっているが、これまで開発されてきた超電導ケーブルの電圧階級は、国内で66kV級、海外でも138kV が最高電圧であり、高電圧に耐え得る超電導ケーブルの開発が求められていた。
古河電工でも、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から受託し、2008年度からスタートした「イットリウム系超電導電力機器技術開発プロジェクト」の中で、2020年の本格導入を目指した275kV級超電導ケーブルシステムの開発を行ってきた。
今回、その中でも技術課題の1つである超電導ケーブルの高電圧化とその275kV気中終端接続部の開発に成功した。これはイットリウム系超電導線材を用いたもので、ケーブル化技術の改善などにより、従来の開発品に比べて、電圧で2倍、電力で3倍の性能向上を実現しており、従来の送電容量に比べて3倍の150万kW(275kV 3,000A)の送電容量を達成、火力発電所1基分の電力を、超電導ケーブル1回線で送電可能となるという。
また、交流損失を3kAの通電において交流損失0.12W/m(これまでの世界記録0.23W/mの50%)に低減することに成功しており、これは現用のCVケーブルに比べ、送電損失を4分の1に低減することとなるという。
さらに、軽量、耐汚損性、防爆性、組立時の作業性など多くのメリットを有している複合がい管を採用し、従来の磁気碍管を用いた気中終端に比べ、長さで80%、重量で20%の軽量化・コンパクト化を実現したほか、交流電圧400kV、インパルス電圧1155kV、交流通電3kAの連続通電をクリアしたという。