アドビ システムズは、東京・ベルサール新宿にて、Web制作者向けイベント「ADC MEETUP ROUND01 モバイルを攻略せよ」を開催。本レポートでは、幅広い年齢層の来場者が詰め掛け、立ち見が出る程の盛況を見せた全8セッションのなかから、冒頭に行われた同社のセッションをお届けしよう。
スマートフォン市場が予測を遙かに上回る成長を遂げた。こと昨今の急激な成長を牽引してきたAndroid OSを搭載したスマートフォンは、メーカーのアイデンティティを体現するかのように多種多様なデバイスが登場してきている。それに伴い、クリエイターはコンテンツデザインを各種デバイスで最適化されるよう考慮し構築しなければならない状況へと移りつつある。そうした"激動するモバイル市場"、そこから発生する制作ツールへのニーズを満たすためにAdobe CS5.5がリリースされたというわけだ。では、コンテンツ制作時に中核を成す「Dreamweaver」や「Flash」はCS5から"0.5"の進化でどのように生まれ変わったのだろうか。
次世代のスタンダードとなる技術への対応がなされたDreamweaver
HTML5やCSS3はもちろん、jQuery等のJavaScriptや、HTMLとJavaScriptのみでスマートフォン向けのネイティブアプリが開発可能なフレームワーク「PhoneGap」などの革新的な技術を用いたコンテンツ開発に対応した「Dreamweaver CS5.5」。本セミナーでは、新機能として追加された要素について、実際にデモンストレーションを交えながら細かな解説が行われた。
特に、モバイルアプリケーション開発において心強い味方となってくれるPhoneGapでは、構築からエミュレーターによるデバッグや、実機での検証作業をシームレスに行うことが可能だ。また、モバイル向けコンテンツ制作をスムースに、そして効率良く行うことを可能としたjQuery Mobileにも対応。これにより、モバイルアプリケーションインタフェースを一貫した効率的な方法で構築することができるようになった。
大幅な制作コストのカットを可能にしたFlash
「Flash CS5.5」の機能解説では、制作しているFLAプロジェクトファイルのドキュメントと対象となるデバイスでコードやアセットを共有し、多様なスクリーン、デバイス向けのコンテンツを効率的に作成することが可能となった。共有しているFLAファイルの一部に変更を加えた場合、すべてのファイルに変更がなされ、ひとつひとつのファイルを開き、修正するという手間がなくなるというわけだ。また、レイヤーのコピー&ペーストも行うことができ、ユーザーの望んでいた機能が実装されている。
また、「Flash Builder 4.5」においても、Dreamweaver同様にモバイル向けの機能を強化。Flexモバイルプロジェクト機能では、現時点のAndroidアプリの書き出しに加えて、2011年6月末の無償アップデー トにより、iOSアプリやBlackberry Tablet OSアプリの書き出しが行えるようになるという。また、よく使うコードをテンプレートとして登録し、必要な 場面で呼び出すことができ、コード記述の際の手間を軽減してくれるとのこと。
さらに、iOSやAndroid向けに、共通のソースコードを活用して異なるデバイスのAIRアプリケーションが開発できるため、開発期間の圧縮はもちろん制作コストの低減に寄与するのは想像に難くないだろう。
次回は、実際にクリエイティブ業界の最前線で活動するクリエイターの講演をレポートしていく。