クリックテック・ジャパン 代表取締役社長 垣田正昭氏

クリックテック・ジャパンは6月14日、インメモリ型BIツール「QlikView」のモバイル対応版「QlikView on Mobile」の提供を開始したと発表した。同製品はモバイルデバイス上のWebブラウザで展開され、追加の開発やコストが不要となっている。

今回、QlikView 10 SR2より、モバイルデバイスのWebブラウザで画面表示を行う機能が追加された。コンポーネントが追加されたわけではないため、アップグレードすれば即座に利用が可能になり、追加のライセンス料もいらない。また、アプリケーションも同社のポータルに保持することで、各種プラットフォームで共有できる。

モバイルデバイスからのアクセスに対する制限や権限はサーバで管理でき、PCからのアクセスと同等のセキュリティレベルが維持される。加えて、クライアントにはデータが残らない仕組みになっているため、デバイスを紛失した際などの情報漏洩も防止できる。

代表取締役社長の垣田正昭氏は、QlikView on Mobileの特徴について、「制限のない探索を実現するツール」と表した。同製品が解放する「制限」は、「探索するデータとルート」、「探索する場所」、「探索するデバイス」、「探索する用途」と4つある。

同氏は、「場所とデバイスの制限を取り払うのは一般的なモバイル向けツールと同じだが、データとルート、用途を制限しない点はこれまでのBIツールとは異なる」と述べた。

「QlikView on Mobileでは、ユーザーが明細データを操作しているその場で、どの視点で見るかを決めて集計することができる。そのため、ユーザーの自由度が高い。また、これまでのBIツールの成果物と言えば、『ダッシュボードを作成することが目的』というイメージが強いが、QlikViewはイスラエル警察の犯罪分析、オンラインショップの商品検索など、多様な情報検索に用いられている」

さらに同氏は、QlikViewが「既存のBIが抱えていた原理的な矛盾を解決するツールである」と訴えた。「既存のBIは利用するにあたり事前の要件定義が必要だが、そもそもBIとはこの要件を解決するために導入するもの。きちんと要件定義ができるなら、BIツールを入れる必要はなくなる。QlikViewは連想技術とインメモリーという技術により、事前に要件定義を行うことなく導入が可能であり、多種多様な分析を実現する」と同氏。

QlikViewはメモリ上に展開されるため、ハードディスクにインストールする他のBIツールに比べて処理速度がすぐれている。また、同じ項目名でかつ同じ値の情報は物理的に1度しか保持しないのでデータ量が削減され、それに伴い処理の速度も早くなっている。

QlikViewの特徴的な技術「連想技術」とインメモリー

説明会では、QlikViewのデモも行われた。デモの内容は、データベースからQlikViewで用いるデータを抽出して、それをもとにアプリケーションを作成してサーバへ公開し、PCとiPadから分析を行うというもの。

同製品では、抽出データの紐付けが自動的に行われるため、ある項目を選択すると、それに関連する項目の色が変わり、一目でデータ間の関連性がわかるようになっている。また、抽出したデータをもとに作成されたグラフは、項目を1クリックで変更するだけで簡単に表示が変更される。

iPadでは、スワイプやピンチといったタッチパネルの独特の操作による操作が披露された。同氏は、「本来、タッチパネル上で範囲選択のような操作を行うと画面全体が動いてしまう。だが、QlikView on Mobileでは正確な動作が行われるような開発が行われている。これには高い技術力が必要」と説明した。

同日の時点では、iPad/iPad2/iPhoneに対応しており、7月末以降、アンドロイド端末各種に順次対応予定となっている。

QlikViewのデモの様子。簡単にアプリケーションを構築して、モバイルから利用することが可能