エルピーダメモリは6月15日、40nmプロセスクラスのDRAMとして高誘電率絶縁膜/金属ゲート電極(HKMG:High-K/Metal Gate)技術を採用した2GビットDDR2 Mobile RAM(LPDDR2)を開発したことを発表した。

HKMGは、トランジスタのゲート絶縁膜を従来のSiO2やSiNから、高誘電率の絶縁材料(High-K材料)に変更することで、リーク電流の抑制とトランジスタの高性能化を図る技術。その際、従来の多結晶シリコンゲート電極のままだと、ゲート電極の空乏化と呼ばれる現象が生じるため、ゲート電極に金属材料を用いたものへと変更(メタルゲート:Metal Gate)する必要がある。

すでにHigh-Kやメタルゲートといった技術はロジック半導体分野ではIntelやTSMC、ルネサス エレクトロニクスなどが採用しているが、シリコン以外の材料を用いるため、製造工程での熱処理温度の違いや、DRAMの構造がロジックと異なる、コスト増などの要因で、DRAMの製造プロセスとの整合は難しいとされていたが、同社ではこうした問題を、熱処理負荷の低減やデバイス構造の工夫により解決したという。

今回開発されたDDR2 Mobile RAMでは、HKMGの採用により、従来のSiO2膜に比べ、トランジスタの電気的なゲート絶縁膜厚を約30%薄膜化したほか、トランジスタのオン電流はSiO2に比べ、最大1.7倍の高性能化を実現した。

また、トランジスタのオフ電流は1/100以下に低減でき、DRAMの待機電力削減が可能となっており、これにより、同社が注力するMobile RAM分野において、将来の高速化よ低消費電力化の両立に向けためどが立ったこととなる。

なお、同社では今後、同HKMG技術の評価と改良を進め、2011年度内のサンプル出荷、ならびに30nmおよび25nmプロセス世代での量産開始を目指すとしている。