計測機器ベンダAgilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは、4Gbpsのステートスピードを実現したロジック・アナライザ(ロジアナ)「Agilent U4154A 4Gb/s AXIeベース ロジック・アナライザ・モジュール」を発表した。

「Agilent U4154A 4Gb/s AXIeベース ロジック・アナライザ・モジュール」の外観

同製品は、DRAMの高速化に対応する解析能力を実現しており、ステート解析の場合、68チャネル時で4Gbps、136チャンネル時で2.5Gbpsのデータ捕捉に対応している。「DRAMは組込機器の要だが、シリアルではなくパラレルでのデータ転送を未だに使用している。しかし、その速度はDDR3-2133ではFSBが1066MHzに到達する。我々は、そうしたメモリの進化に合わせて自社のロジアナを進化させてきた」(同社電子計測本部 マーケティングセンタ ロジック・プロトコルテスト担当 マーケット・ディベロップメント・マネージャの堀部勝義氏)とのことで、同製品もそうした次世代の高速データレートに対応するDRAMへの対応を前提に開発されたものだとのことで、「例えばDDR3-2133を測定しようと思うと、どれくらいアイターンのアイの開きがあれば、きっちりとした波形を取れるのかが鍵となる。今回、U4154Aでは新たに開発したASICとコンパーレタを搭載することで、アイパターンの測定時間を従来比で10倍高速化したほか、プローブのケーブル品質も向上させたことで、アイ開口度は100mVまでで100ps、サンプリング解像度(分解能)は5psで5mVを実現しており、これは200GSpsに相当する分解能となっている」とその性能を説明する。

メモリの高速化に伴い、データのValid Windowsも狭まっていく

同社が実際に計測した速度としては、各ポイント(1測定箇所)あたり5万ポイントの測定で、2~3分で実現できるという。また、これまで、アイパターンの画面はオレンジ色の濃淡のみで表されていたが、それだとDDR3-2133などではもはや空いているのかどうかの確認がしづらいということで、色数を増やし、よりアイパターンの空き状態を見やすくし、空いていなくても色が極端に薄い状態である、といったレベルまで見ることが可能となった。

U4154Aの概要

5ps/5mVまでくっきりとした形でアイパターンを確認することができる

DDR3-1333を用いた実際のデモによる比較。従来型の表示だと、この状態でもかなり見づらいが、青をベースにすると、かなり見やすい印象となる。ちなみに選択できる色調は複数種類用意されている

さらに、従来品と比べてチャネル数が倍増しており、1台で従来品2台分の活用ができるほか、オシロスコープとセットで活用することで、波形を見ながら解析を行うといったことも可能だ。

実際のデモの様子。右のPCケースにプローブがつながる形で計測を行っている。今回は、このプローブのケーブル品質も向上させることで、ノイズの低減を実現したが、将来的にさらに高速化が進んだ場合、プローブそのものなどのさらなるノイズ低減なども必要になる可能性があるという

なお、同製品はモジュール単体の価格が688万7404円(税別)となっているが、ステートスピード2.5Gbps対応オプションの利用が必須で、こちらの価格は369万4339円(税別)となっている。