計測機器ベンダAgilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは6月7日、集積回路(IC)の電流消費の変化による電源電圧変動のシミュレーションを行えるソフトウェア「E5061Bネットワーク・アナライザ用IRドロップシミュレーションソフトウェア」を発表、即日より販売を開始した。価格は約50万円(税別)で、同ソフトを活用するためには、別途、「Agilent E5061B ENAシリーズ ネットワーク・アナライザ」が必要となっている。
近年、マイクロプロセッサやメモリ、FPGA、システムLSIなどの高速デジタルICは、低電圧化、大電流化が進んでいるが、DC(直流)電源周りの特性(パワーインテグリティ:PI)の向上が求められている。特に、ICが消費する電流に急激な変化があった場合でも、DC電圧の変化(IRドロップ)を発生させないことが必要となっており、同社ではそうした課題への対応のために、「Agilent E5061B ENAシリーズ ネットワーク・アナライザ」での測定結果をもとに、IRドロップ解析を行えるシミュレーション・ソフトを開発したという。
同ソフトはネットワーク・アナライザでの測定結果をもとに、さまざまなIC消費電流条件を入力するだけで、電源電圧変動をシミュレーションすることが可能となるもの。これにより、ICのどのような電流消費条件でDC電源系に問題が起こるのかを簡単に評価することができるようになる。
また、従来、電源電圧変動のシミュレーションを行うには、多機能かつ高価なシミュレーション・ソフトが必要であったが、同ソフトは、電源電圧変動解析にのみ特化することで、低価格化を実現しつつ、ネットワーク・アナライザによる周波数領域の解析と、同ソフトによる時間領域の解析により、DC電源の品質評価を柔軟に行うことを実現している。
なお、同ソフトは、同社の本社・八王子事業所内にある電子計測本部アプリケーション・エンジニアリング部で開発したものだという。