東北大学 流体科学研究所の分野横断型研究グループは、東北電力との共同研究により、原子力発電所における配管脆弱箇所予測システムを開発したことを発表した。

同システムは、超並列融合計算により、原子力発電所の配管系と高速熱流動をスーパーコンピュータ上に再現し、経年劣化による配管内脆弱箇所・減肉エロージョンの発生箇所・原因を事前に予測することが可能とするもの。今後の実用化により、原子炉の保守・点検に要する時間的・人的コストの軽減が可能となり、安全性の高い原子力発電の運用が可能になると研究チームでは説明している。

現在、原子力発電所の安全性に関する議論が活発となっているが福島第一原子力発電所が水素爆発を誘起した直接の原因は、配管系の故障により冷却水が循環しなくなったことに起因している。特に原子力技術に関しては原子炉の安全性のみに重点が置かれていたこともあり、冷却システムを構成する配管系の安全性に関しては重要であるにもかかわらず見逃されがちであった。今回の研究について、研究グループでは、原子力配管系のみならず発電所プラントの安全性を改善する上で重要なシステムとなり得るとしている。

原子力発電所内エルボー配管部における液滴衝撃エロージョンに起因する脆弱箇所発生に関して、スーパーコンピュータを用いた計算予測が可能となっている