ルネサス エレクトロニクスと、同社子会社のルネサス モバイルは6月6日、LCDパネルを搭載した産業・民生・車載機器向けに、グラフィックス表示機能とネットワーク性能を強化した32ビットマイコン「SH7734」を製品化、2011年11月よりサンプル出荷を開始することを発表した。サンプル価格は、1個あたり2,800円からとなっており、量産は2012年3月から開始し、同年9月より月産10万個を計画している。

WVGAサイズ(800×480)のフルカラー表示(1,677万色)とGbEに対応したSuperHマイコン「SH7734」

同製品は、OpenVG1.1に準拠したグラフィックス表示機能を搭載することで、図形/文字の拡大、回転、変形や色彩のグラデーション表示などの視覚効果や、アニメーション表示などを小容量のプログラムで高速に実現することが可能なほか、表示出力用に、WVGAサイズ(800×480)のフルカラー表示(1,677万色)やXGAサイズ(1024×768)のハイカラー表示(65,536色)が可能なデジタルRGB出力端子を備えているため、表示画面の大型化や高精細化にも対応可能だ。

また、IEEE802.3準拠のGMII(Gigabit Media Independent Interface)インタフェース仕様のギガビットイーサネット(GbE)コントローラを搭載しており、既存のイーサネットコントローラ内蔵「SH7764」でのデータ転送速度10Mおよび100Mビット/秒に加え、1Gbit/秒のイーサネットLANにも接続可能となっているほか、データ転送時のCPU負荷を低減するために、CPUを介さずにダイレクトにメモリにアクセスできる専用のダイレクトメモリアクセスコントローラを内蔵するなど、大容量のデータ転送をスムーズに行なうことが可能な構成を採用している。

さらに、CPUコア「SH-4A」の最高動作周波数は533MHzで、従来製品「SH7764」(324MHz)比で約1.6倍高速化しているため、高機能なHMI向けの音声処理、多彩な表示コントロールや信号処理などの高速化とともに、内蔵のネットワークコントローラによる高速なネットワーク転送性能を引き出すことができる。加えて、メモリコントローラとして最大動作周波数300MHzのDDR2-SRAMとDDR3-SDRAMをサポート。メモリバンド幅として最大1.2GB/秒をサポートしており、大量のデータ転送にも対応することが可能となっている。

なお、「SH7734」はパッケージに440ピンBGAを採用、SDメモリカードインタフェースやCANインタフェースなどの有無の組み合わせにより、16品種がラインアップされており、用途に応じて選択することが可能。今後は、ローエンド機種向けに、低コスト化した製品や、ハイエンド機種向けに表示機能などの周辺機能の充実やさらなる高速化や高性能化した製品などを市場のニーズに対しタイムリーに提供していく方針としているほか、同製品のコア技術は、今後、新統合のモバイル向けSoC「R-Mobileシリーズ」にも踏襲していく計画としている。