日本マイクロソフトは6月3日、教育における同社の取り組みについて説明する、プレス向けラウンドテーブルを開催した。プレゼンを行った日本マイクロソフト 執行役 パブリックセクター担当の織田浩義氏は、冒頭、21世紀の競争力のある人材を創出するためには、ICTやPCを活用した「情報活用力(情報力)」、「思考力/創造力」、「コミュニケーション力/コラボレーション力」が重要だと指摘した。
しかし、日本における小・中・高を取り巻くICTの環境は、スクールニューディール政策によって、教員用PCの整備率は98.3%まで高まったものの、PC1台あたりの生徒数は6.4人に1台で、高校生が自分専用のPC保有率は5人に1台と低い数字に留まっている。織田氏は、この数字は韓国の2.5人に1台、米国の1.6人に1台と比べかなり低く、児童・生徒のPC環境は改善の余地があると指摘する。
そして、教育現場でのICT活用を促進するためには、「ICTインフラの整備」、「教材コンテンツのデジタル化」、「教員/子供のITリテラシーの向上」が大きな柱となるした上で、情報化社会が進展することにより、21世紀型の新しい学ぶスキル、新しい学び方のスキル、新しい学ばせ方のスキルが必要で、日本がこれらをリードしていかなければならないと強調。その上で、これまでマイクロソフトは生徒や教員への支援に注力してきたが、今後は学校・教育機関との連携、政府・自治体との連携など、教育を改革していく大きな組織への支援を強化する必要があるとした。
その取り組みの1つが、同社が2004年から提供している地域活性化を目指す自治体と協働し、地域の課題に合わせたITの活用プログラムである「地域活性化協働プログラム」だ。これは、自治体向けの支援施策で、すでに35以上の自治体と締結。その中でも、今年の2月23日に締結した山梨県と、4月28日に締結した岡山県とは、教育分野でも連携し、教職員のICTスキル向上支援、クラウド活用の検証、IT人材育成支援のためのDreamSpark提供を行っている。
そして、織田氏が今後の施策の1つとして挙げたのが、教育クラウドの構築だ。これは、クラウドを付加価値を提供するハブとして位置付け、学校や児童・生徒だけでなく、保護者や研究者、企業、ボランティアなどの支援者とも連携し、学校だけでなく、地域や家庭も巻き込んで、連続した学びの環境を提供していこうという試みだ。タブレット端末を活用したもので、すでにトライアルに向け、自治体との交渉を行っているという。