Analog Devices(ADI)は、同社が提供している2つのRF設計ツールの新バージョンとして、「ADIsimR Ver. 1.5」と「ADIsimPLL Ver.3.4」を発表した。
ADIsimRFは、RFからデジタルブロックまでの製品群を用いたレベル・ダイア設計向けのソフトウェアで、ADIのほとんどのRF 製品が登録されており、RFシグナル・チェーンのモデリングを容易に実現することが可能なツール。Ver.1.5では、シグナル・チェーン内の信号レベルの可視化が強化され、各ステージにおける信号レベル(RFパワー)に対し、そのステージの-1dB圧縮点(P1dB)から求めたピーク値およびRMS値のバックオフ量を表示し、シグナル・チェーン内の信号レベルの可視化を実現することが可能となった。
また、RMS(実効値)パワー、ピークパワー警告スレッショルド設定機能やステージ間パワー損失を測定するための計算機能が追加され、特定のステージにおけるRMSパワーやピークパワーが-1dB圧縮点に近いことをユーザに警告するために、ピーク・アベレージ・レシオやバックオフ・スレッショルドの設定が可能となったほか、インピーダンスのミスマッチによる2つの隣接デバイス間のステージのRFパワー損失やRMS電圧、ピークtoピーク電圧、およびノイズ・スペクトル密度(nV/√Hz単位)などの電圧ドメイン信号レベルなどを算出することが可能となった。
一方、ADIsimPLL Ver. 3.4は、同社のPLL製品を用いたループ・フィルタの設計を高い精度で実現するPLLシンセサイザ設計シミュレーション・ツール。今回のバージョンアップでは、基地局や汎用アプリケーション向けPLL「ADF4351」、衛星アプリケーション向け集積ブロードバンド・レシーバ「ADRF6850」が追加された。
同ツールは位相ノイズ、分数Nスプリアス、およびアンチバックラッシュ・パルスなどのPLLの性能に影響を及ぼす可能性のある、重要な非線形効果をすべてシミュレーションすることが可能なほか、既存のバージョンと完全互換になっており、PLL/シンセサイザの開発の際に、時間のかかる反復操作を不要とすることが可能となっている。
なお、これらの設計ツールは、同社のWebサイトから、無償で活用することが可能となっている。