Mentor Graphicsは、同社の高位合成ツール(HLS)「Catapult C Synthesis」が、トランザクションレベル・モデル(TLM)の合成に対応したことを発表した。
これにより、Catapult C SynthesisとESL設計プラットフォーム「Vista」の相互作用が可能となり、実行可能なメソドロジの基盤が提供されるほか、仮想プロトタイピングとハードウェア実装に対応した包括的なTLM 2.0ベース・ソリューションを実現することが可能となり、この結果、合成に対応した仮想プラットフォームの構築が可能となる。
Catapult C SynthesisのTLM合成対応は、同ツールのフルチップ合成テクノロジを拡張したもので、これによりTLM合成に対応したメソドロジとモデルを提供する。TLM合成フローは、抽象的なTLMモデルをプロトコル固有のピン精度SystemCモデルに変換し、そこからRTLコードに合成するほか、合成可能な既存の記述をTLMに変換することも可能だ。同フローは、ARM AMBAバスファミリなど標準的な既存のバス・インタフェースのほか、カスタムプロトコルにも対応している。
この機能により、従来は互換性のない抽象要件により切り離されていた、高速で抽象的なTLMインタフェースに依存する仮想プロトタイピングと、合成可能なピン精度モデルを必要とする高位合成ベースのハードウェア実装という2つの工程のギャップを埋めることが可能となる。
合成に対応した仮想プラットフォームでは、標準的なTLMインタフェースを利用してシミュレーションと合成可能なモデルとを組み合わせるため、プラットフォームレベルとIPレベルの両方で単一の共通ESLモデルを使った共同設計/検証が可能となった。ハードウェア設計チームは、抽象的なTLMモデルを作成し、Catapult C Synthesisを使って量産品質のRTLコードへ自動的に合成できるほか、プラットフォーム・チームとの共有が可能であるため、Vistaを使ってシステム統合、早期のソフトウェアテスト、高速のESL検証を実行できるため、TLM合成とシミュレーションを効果的に組み合わせることで、ESLモデルとフローの融合を実現することができるようになるという。