ARMは、同社が提供するコンパイラの最新版となる「ARMコンパイラ v5.0」およびARMプロセッサベースのASICやASSPデバイス向けのリファレンス・ソフトウェア開発ツールチェーン「ARM RVDSツールキット」の後継製品「ARM DS-5 Professional Edition」を発表した。
ARMコンパイラは、最初のARMプロセッサがリリースされて以来、ARMおよびThumb生成コードのサイズと性能を最適なバランスで提供するよう、継続的に改良されてきており、ARMコンパイラ v5.0では、Cortex-A15 MPCore、Cortex-R5、Cortex-R7プロセッサなどのプロセッサをサポートし、それぞれのプロセッサに合った最適化をサポートしている。
また、GCC互換性が強化されているため、一切の変更を加えることなく、既存のオープンソース・プロジェクト用のビルド環境に対応することが可能となっている。
一方のARM DS-5 Professional Editionは、ARMコンパイラを、DS-5デバッガ、パフォーマンス・アナライザ「Streamline」などを含むEclipseベースの統合開発環境にバンドルしたもので、これによりプラットフォームの立ち上げ、ベア・メタル開発から、RTOS、Linux、Androidベースのアプリケーション開発まで対応することが可能となる。
DS-5は、NEON SIMDエンジンのサポートを強化するなど、Cortex-A9 MPCoreプロセッサのコード生成、デバッグ、性能解析に対応しているほか、近年のARMプロセッサに対しては、パフォーマンスモニターを使用して、システムの状態に影響を与えずにシステムレベル・プロファイリングを行い、「ARM Embedded Trace Macrocell(ETM)」および「Program Trace Macrocell(PTM)」からトレースデータを表示することで、時間関連のバグのデバッグと解析を可能にしている。
さらに、DS-5 Professional Editionは、Cortex-A15 MPCoreプロセッサのデバッグ・サポートに加え、「CoreSight SoC-400」デバッグ/トレース・テクノロジーによる機能拡張が図られており、NVIDIAのTegra250、Samsung ElectronicsのExynos 4210、STMicroelectronicsのSPEAr600およびSPEAr1300、Texas InstrumentsのOMAP4など、一般的なマルチコア・デバイス向けのデバッグ設定も装備している。
加えて、デバッグ/トレース・ユニット「ARM DSTREAM」は、命令トレースを使用した長時間のソフトウェア・デバッグ/プロファイリングを可能にするターゲット接続および4GBのトレース・バッファを提供している。
なお、DS-5 Professional Editionは、30日間のフル機能評価ライセンス付きで、現在、同社のWebサイトよりダウンロード可能だ。また、RVDSは、引き続き販売され、現在RVDSを使っているユーザーに対しては、DS-5へのアップグレード・パスも提供される予定となっている。