ルネサス エレクトロニクスは、LED照明器具に必要とされるLED制御、電源制御および通信機能を1チップで実現する16ビットマイコン5品種を開発し、「RL78/I1A」の名称で、順次サンプル出荷を開始したことを発表した。サンプル価格は64KBのフラッシュメモリ、4KBのRAM、端子数38本の製品で220円/個となっており、2012年1月より量産を開始、2013年1月には月産100万個の出荷を計画している。
5製品は、同社製CPU「RL78」を採用し、20~38ピン、32/64KBのフラッシュメモリを内蔵し、通常動作時の消費電力を従来品「78K0/Ix2」比で20%削減した低消費電力マイコン。
平均分解能0.97nsのPWM出力を6本搭載しており、従来比25倍のきめ細かい調光・調色を実現できるほか、新たにPWM出力にオン/オフ制御タイマを搭載したことにより、電流調光やPWM調光のどちらにも対応することが可能となっている。
また、10ビットA/Dコンバータは入力に増幅率最大32倍のPGA(プログラマブル利得アンプ)を搭載しているため、高精度なLED電流の測定が可能となる。これにより、より細かい調光制御ばかりでなく、電流測定用抵抗を低減できるため、システム全体の消費電力低減が可能となる。
さらに、大電力器具の力率を改善するインターリーブ動作対応のPFC制御機能を新たに内蔵したことで、外部割り込み端子やコンパレータと連動し、CPUを介さずにPWMタイマ制御が可能となったほか、過電圧・過電流の検出用にコンパレータ(上限、下限を設定できるウィンドウ・コンパレータ対応)に連動してPWMタイマ出力を停止する機能を搭載。これにより照明機器の故障を予防できるほか、強制出力停止時のポート状態をHi出力、Lo出力、Hi-Z出力の3種類から選択できる構成とすることで、さまざまな保護回路に柔軟に対応することが可能となっている。
加えて、欧州の家電製品の安全規格で必須とされるIEC60730に対応できるよう、フラッシュメモリCRC演算機能やRAMパリティエラー検出機能、周波数検出機能、不正メモリアクセス機能などの回路を搭載していることに加え、CSIやI2C、UART(DMX512)、オープン標準の照明用通信規格DALI「(Digital Addressable Lighting Interface)」などに対応しているため、照明用の通信規格に柔軟に対応することが可能となっている。
なお、ルネサスではこれらの製品に対し、今後積極的な拡販活動を展開するとともに、成長するLED照明器具市場に向けたマイコンのラインアップを拡充する計画としている。