ソフトウェア・エー・ジーは5月25日、同社の顧客やパートナーを対象としたイベント「プロセスフォーラム 2011」を開催した。同イベントでは、同社の事業戦略をはじめ、製品・ソリューションのロードマップ、BPMの市場動向、BPM活用のポイント、事例などが紹介された。ここでは、同社の事業戦略、BPMの市場動向や活用のポイントに関する講演についてお伝えする。
ソフトウェア・エー・ジー 代表取締役社長の須崎弘一郎氏は、同社の事業戦略と理念について説明した。同社は今年2月に、BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)を進化させた「ビジネス・プロセス・エクセレンス」という理念を発表している。
同氏は、「カスタマーファーストを主眼に置きながら、"顧客サポート"、"パートナー戦略"、"コンサルティングサービス"、"製品戦略"という4つの柱の下、"ビジネス・プロセス・エクセレンス"を実現していく」と語った。
また、同社のクラウドへの取り組みとして、2011年第3四半期にはプライベートクラウド環境の提供を、2012年にはSaaS環境における同社製品利用への対応を予定していることが、紹介された。
続いて、アイ・ティ・アール シニア・アナリストの甲元宏明氏が、「今求められるビジネス・プロセス・イノベーション~グローバル対応力と変化適応力で差をつける~」というテーマの下、基調講演を行った。
甲元氏は、BPMが価値を生むための条件について「ビジネスプロセスが複数のプロセスから構成され、トップにはバリューチェーンがくる『階層構造』になっていなければならない。また、主なプロセスのIT化が一巡した現在、特定のアクティビティや機能にスコープを絞ったプロジェクトでは大きな成果を望みにくい。経営への貢献度を高めるには、スコープを広げていく必要がある」と説明した。
BPMツールのトレンドとしては、EAIやBPMからCIS(Comprehensive Integration Solutions:包括的統合ソリューション)へのシフトが挙げられた。CISには、BAM、ESB、ルールエンジン、ポータル、モデル駆動開発、SOA、ヒューマンワークフローなどが含まれる。
次に同氏は、「BPMは成熟度に応じて、下から『ビジネスプロセス・モデリング』『ビジネスプロセス実行』『ビジネスプロセス・モニタリング』『ビジネスプロセス最適化』という4つの段階に分けられ、最終的には最適化が行われる必要がある」と述べた。
BPMはビジネス・パフォーマンスとビジネスプロセスを同時に実行すべきであり、これを行って初めてビジネス価値を最大にすることができるという。
ソフトウェア・エー・ジー BPE、グローバルサービス マネージャーの冨樫勝彦氏は、BPMを有効活用するための運用のポイントや同社のサービスについて説明を行った。
同氏は、「業務の標準化を行うと、それをたたき台としてもっとよいアイディアを出すことができる。ビジネスを回しながら改善・拡大させていくものがBPM」と説明した。
改善サイクルを作る仕組みは「基盤」「コンテンツ」「リリース」「継続改善」という4つのステップを踏んで行われるが、これを運用するには「ガバナンス」「変更管理」「モニタリング」が不可欠となる。
ガバナンスとしては、プロセスオーナーの役割と権限を明確にした組織を確立することが重要だ。プロセスオーナーは業務部門のスポンサーである役員とIT部門とやり取りを行う。変更管理としては、プロセスとシステムを一体として迅速に回す必要がある。
そして、同氏は「最も難しいのがモニタリング」と述べた。「プロセスは標準プロセス、禁止事項、例外プロセスに分けることができる。まず、標準プロセスを明確にすれば、それに従っている人は監視する必要はない。禁止事項は制度やルールによって抑止すればよい。残りの例外プロセスをいかにモニタリングできるかがカギであり、改善機会としてとらえ、サイクルを回していけばよい」
さらに同氏は、BPM成功のカギとして、ヒトに対するコミットを挙げた。「BPMを運用していくうえで最後の壁となるのが、ヒトの啓発や意識変革。ステークホルダーやキーマンをうまく取り込んでいく必要がある」と、具体的な対策を提示した。