経済産業省は5月25日、東京電力と東北電力管内における今夏の電力使用制限について、正式に「15%削減」を大口需要家に対して求める法的措置を公表した。

今回経済産業省が公表した法的措置は電気事業法第27条に基づくもので、対象となるのは東京電力と東北電力管内で電力500kW以上の需給契約を行っている大口需要家。

制限の実施期間は東京電力管内と東北電力管内では異なり、東京電力管内では2011年7月1日~9月22日(実施時間は平日9時~20時)、東北電力管内では2011年7月1日~9月2日(実施時間は平日9時~20時)となる。

この法的措置には罰則が設けられており、「故意による使用制限違反」に対しては100万円以下の罰金が科せられる。

なお、今回の電力使用制限には電気の使用制限がかからない「適用除外」が設けられており、「緊急的に稼働が必要と認められる需要設備(救急患者の治療を行う医療施設、下水道・排水機場など)」「災害救助法の収容施設として設置される避難所」「福島第一原子力発電所に係る警戒区域、計画的避難区域又は緊急時避難準備区域に所在する需要設備」がこの対象となる。

また、使用電力の削減率や使用時間帯の制限に柔軟性を持たせた「制限緩和」措置も用意されており、この対象となる施設には医療施設やデータセンター、金融機関、航空、通信関係のシステムなどが含まれる。

この「制限緩和」(削減率0~10%)対象となる主な施設や設備は以下の通り。

  • 生命・身体の安全確保に不可欠な需要設備
    医療関係(医療施設、医薬品・医療機器製造販売業及び製造業、医薬品卸売販売業)/老人福祉・介護関係(老人福祉施設、介護保険施設、障害児(者)福祉施設など)/衛生・公衆安全関係(坑排水処理事業、調整池を有さない揚水機場、産業廃棄物処理施設、火葬場、と畜場)
  • 安定的な経済活動・社会生活に不可欠な需要設備
    24時間・365日電力使用の変動幅がほぼフラットな需要設備(データーセンター、金融機関、航空、通信関係のシステムなど)/クリーンルームや電解施設を有する需要設備/人流・物流などへの影響が大きく電力の使用時間帯が変えられない需要設備(鉄道や航空、物流、宿泊、エネルギー供給、新聞の印刷施設など)/被災地の復旧・復興に不可欠な需要設備