宇宙航空研究開発機構(JAXA)は5月24日、赤外線天文衛星「あかり」(ASTRO-F)が5月24日午前5時30分頃(日本時間)、バッテリの蓄電量の低下により、軽負荷モードに移行し、搭載観測機器、Xバンド送信機の電源がオフ状態となっていることが、内之浦局での受信データにより判明したことを発表した。
あかりは2006年2月22日に打ち上げられ、要求寿命1年、目標寿命3年を超えて運用していた日本初の本格的な赤外線天文衛星。赤外線を観測するFISと、近・中間赤外線カメラであるIRCの2種類の観測装置を搭載し、銀河の誕生などの謎の解明に向けた赤外線の観測が行われていたが、2007年8月26日17時33分に、観測装置と望遠鏡を冷却している液体ヘリウムを使い切り、全天サーベイを含む遠赤外線および中間赤外線での観測を終了(フルサクセスを達成)し、近赤外線装置による観測が冷凍機のみの冷却により継続して行われていた。
内之浦局でのデータ受信後、蓄電量の低下が進み、日陰により衛星への電力供給が断たれた後、日照により衛星電源オフ状態から立ち上げた初期設定状態に移行したことを午前11時20分に確認している。
現在は、太陽電池パドルによる電力発生のある時間帯のみ、衛星への電力供給がなされている状態であり、JAXAでは今回の事象の原因調査を進めるとともに、必要な対策を講じていくとしている。