ビジネス機械・情報システム産業協会の山本忠人会長

ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)は5月23日、通常総会を開催した。その後に開かれた記者会見で、山本忠人会長(富士ゼロックス社長)が事務機市場に対する東日本大震災の影響、2010年度の活動の成果、2011年度の活動方針について説明した。

山本会長は、東日本大震災の影響について、「東日本大震災は日本経済に未曾有の影響を与えており、1~3月の業績減速が鮮明になっている。設備被害を特別損失に計上する企業も多く、1~3月の純利益は6四半期ぶりに前年同期を下回っている。各企業も生産回復に向けて迅速な対応を推し進めており、今後も国の復旧、復興支援策、補正予算の状況などを注視しながら、努力したい」とコメントしたものの、「復興のスタート点に立ってはいるが、夏場の電力使用抑制などまだ不透明感が強い。今後の景況感については何ともいえない状態」と、懸念を示した。

また、2010年度の活動報告として、昨年の会長就任時に掲げた「中国課題対応」、「環境問題」、「公益法人制度改革」の3つの重点課題に対する成果などについて述べた。

「中国課題対応」については、中国パートナーシップ会議を新たに設置したことをはじめ、情報セキュリティ強制認証制度や事務機器や消耗品の中国国家標準への対応、製品回収処理における中国WEEEに対しWEEE基金管理弁法意見募集への取り組みなどを通じて、「中国に関する課題全般において成果を上げている」とした。

「環境問題」については、電機・電子4団体の一員として、同協会のスタンスを明確にする一方で、「COP16での具体的協議の先送り、国内での温暖化基本法案の棚上げ、東日本大震災の原発停止の影響などで先行きが不透明になった」と総括。公益法人制度改革では、1年間の議論の結果、今回の総会で一般社団法人への移行に関する承認を得たと報告した。

2011年度の重点課題としては、前年と同様に「中国課題対応」、「環境問題」、「公益法人制度改革」を掲げるとともに、「EUにおけるMFP関税問題の是正措置の実施フォロー」、「大地震発生時の複写機安全対策の検証結果の情報提供」への取り組みを挙げた。

同協会では、大地震発生時に複写機がユーザーの設置環境で及ぼす危害を軽減する方策について耐震実験を行い、検証結果を告知することを明らかにしたほか、業界標準であるJBMS/TRを広く世界に普及させるためにサイトでの英語対応の実施、電子ペーパーの国際標準化への提案活動、海外の電子書籍や電子新聞、電子教科書に関する情報収集とともに電子ペーパーのアプリケーションコンテストを開催するといった普及活動の促進などにも取り組むとした。

複写機と複合機に関しては、政府が策定している省エネ法改正に伴う新トップランナー基準への対応を検討。海外のエナジースター基準、ブルーエンジェル基準など省エネ法は正の改訂に関する情報収集と対策を図るという。