東京電力 代表取締役社長 清水正孝氏

東京電力は5月20日、2010年度通期の連結決算を発表した。売上高は5兆3685円は前年度比7%増となったが、震災に伴う巨額の特別損失を計上したことなどにより、最終損益は過去最大となる1兆2473億円の赤字となった。

連結決算の内訳は売上高 5兆685円(前年度比3522億円増)、経常利益 3176億円(1133億円増)、特別損失 1兆776億円、当期純損益 1兆2473億円の赤字となる。

特別損失(災害特別損失)の内容は以下の通り。

  • 原子炉等の冷却や放射性物質の飛散防止等の安全性の確保等に要するもの (4262億円)
  • 福島第一原子力発電所1~4号機の廃止に関するもの(2070億円)
  • 福島第一原子力発電所5・6号機及び福島第二原子力発電所の原子炉の安全な冷温停止状態を維持するため等に要するもの(2118億円)
  • 福島第一原子力発電所7・8号機の増設計画の中止に伴うもの(393億円)
  • 火力発電所の復旧等に要するもの(497億円)
  • その他: 流通設備等の復旧や資機材の輸送に要するものなど(833億円)

同社は上記の合計額を1兆175億円としているが、これに資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額(566億円)が加わったことにより、連結での特別損失合計額は1兆776円となった。

2011年度の業績見通しの公表は見送られ、同社は公表済みの中期経営計画(「2020 ビジョン」)についても取り下げるとしている。

なお同社は「基本方針として30%の連結配当性向を守ってきたが、これも見直す」(清水社長)とし、無配とする決定を行った。