自分の作品を誰かに見てもらいたい、どうせ見てもらうなら実力も試したい! と思うなら、現在、様々な作品を募集している「Adobe Design Achievement Awards」(以下、ADAA)に応募してはどうだろうか。とはいえ、国際コンペならではの応募方法に戸惑うことも多いだろう。そこで、第一関門となる応募方法について、そこで、ADAAの応募方法を実際の手順に沿って、紹介していこう。
ステップその1
まずは、ADAAのホームページにアクセス
まずはADAAに関する情報を入手しよう。ADAAのWebサイトにアクセスすると、応募カテゴリーやコンテストの規定、応募に関するFAQなどを知ることができる。応募作品は2010年5月1日以降に作成されたものが条件。提出した応募作品はアドビ システムズの排他的財産となり、返却はされないので注意が必要だ。このあたりの細かな条件は、ADAAホームページの「コンテストの規定」で細かく説明されているので、気になる人は応募する前に必ずチェックしておこう。
ステップその2
応募者登録をしよう
2011年度のADAAはすでに募集と審査が開始されている。今募集しているのは、2011年4月29日~2011年6月24日の間に応募された作品を対象にした第三次の募集である。この期間に応募した場合は、2011年7月にセミファイナリストが発表される。
「今すぐ応募!」をクリックすると、「Entry Submission」ページが開く。ここで、「言語」プルダウンメニューで「日本語」を選ぶと画面内の表記が日本語に切り替わる。初回のアカウント作成時には「アカウントの作成/Create Account」ボタンをクリックしよう。続けて、アカウント詳細を登録する画面が表示されるので、「Student」(学生)か「Instructor」(教職員)を選択し、名前やメールアドレス、ログイン時に必要なパスワードを入力する。すべての入力を終えたら、「次へ」ボタンをクリック。「同意条件」画面で要項を確認したら、すべての項目にチェックを入れて、「マイアカウントの作成」ボタンをクリックする。これで、応募用のアカウントは完成だ。
正常に登録を終えると、登録メールアドレスにアカウント作成を知らせる電子メールが届く。これにはログインアドレスやパスワードが記載されているので間違って削除してしまわないように。
ステップその3
写真と学生証のコピーの用意を忘れずに
アカウント登録を終えると、次は自分のプロフィールを登録する。画面右上で言語を「日本語」に切り替えられるので、内容が分からないということはないだろう。ただ、登録する際には英語表記にすること。これだけを注意すれば問題ない。
「マイプロフィール」欄をクリックして、改めて名前や学校での専攻課程、学籍などを英文で入力する。「公開情報」では、プロフィール写真の登録が必要だ。ここで登録した写真は、セミファイナリストに残った際などADAAホームページに掲載されるため、自分が納得できるものを用意しておくと安心。
続いて「連絡先情報」、「学校情報」を登録。「学校情報」では、学生証など応募者が学生であることを証明する書類のコピーを添付する必要がある。
すべての入力を終えたら、「保存」ボタンをクリックする。この内容は、後からでも再入力できるので写真などの不備があったら締切までに登録し直そう。
ステップその4
いよいよ作品を応募
「マイプロフィール」欄の登録を終えたら、「マイエントリー」ボタンをクリックする。ここから、いよいよ作品をアップロードしていく。応募カテゴリによって、作品の提出形態は異なっており、たとえば「従来のメディアセグメント」に応募する場合は作品をJPEGなどの画像形式に変換してアップロードするが、「インタラクティブメディアセグメント」の場合は「参照URL」を知らせる(もちろん、応募後そのサイトのコンテンツ変更は許されない)。応募カテゴリを選ぶと、応募作品の提出方法が説明されるので、その内容に沿って提出しよう。
作品を提出するため、「新規応募」ボタンをクリックする(左)。作品のジャンルに合わせて、「メディアセグメント」とカテゴリーを選択する。「Requirement」欄に作品応募の注意点が記されるので必ず目を通しておこう(右) |
応募作品についての情報を入力するのが「応募作品の詳細」欄だ。タイトルや作品の具体的な説明、テーマなどを英文で入力する。とりあえず作品をアップロードし、後でゆっくり入力することもできるのでまずは日本語で内容を考え、英語に直すこともできる。
「応募作品の詳細」画面で作品の解説文を入力する。「保存して後で記入」を選択すれば、応募締切までに修正することもできる(左)。応募そのものは画面の指示に従えばOKなので、それほど難しく考える必要はない。必要な項目を入力したら「次へ」ボタンをクリックして先に進もう(右) |
最後に、提出物の説明を英語でする場合のヒントを紹介しよう。まず日本語で作品を紹介するためのポイントである「制作の目的」、「テーマ」、「そのテーマを選定した理由」、「作品に関する説明」をそれぞれ1行程度にまとめる。その上で「自分独自の手法」、「スタイルやツールの使い方の特長」を具体的に説明することで、審査員は作者のアピールポイントを理解できる。以上のことをふまえ、サンプルを作成したので、参考にしてほしい。
作品の概要/Summary Description
As being a Japanese, I made this design hoping to express the saying of "Japan will recover', with my warm prayers and believes in Japan for its strength to recover from the Tohoku and Kanto Earthquake which happened in March 2011.
【和訳】
日本人のひとりとして、今回の東北関東大震災を受け、「日本は必ず復興する」という願いや日本の力強さなどをデザインで表現することを目的として、本作品を制作しました。
The theme for this work is 'Strong Japan'. I made this as the theme, because I beleive that I am able to express my feelings for the people who is involved with the Tohoku Earthquake March 2011 to recover as soon as possible. I have carefully studied the current situation up in Northern Japan, therefore, the main part of this work was the photographs taken by the media and images made by myself. I am hoping to express the feelings of those invloved in the recovery.
【和訳】
作品のテーマは「強い日本」。大震災が起きた日本に暮らしているからこそ、今表現できることがあると思い、本テーマを選びました。本作品では、震災の復興に取り組む人々やその様子を捉えた報道写真をベースに、イラストなどを加え、必死に復興へ向け頑張っている日本を表現したイラストレーションです。
使用ツール/Tools used
For creating my illustration works, I used the tools listed.
-Adobe Photoshop
-Adobe Photoshop Lightroom
-Adobe Illustrator
First, I have used the 'Illustrator', to make the shapes of illustrations. Then, I took the work to the 'Photoshop', where I have made a collage of all the media pictures. Lastly, I used the 'Adobe Photoshop Lightroom' and took both the work together to make one piece of art.
【和訳】
まず「Illustrator」を使い、イラストのベースとなる形を生成していきます。そこへ、「Photoshop」で加工した震災関連の様々な写真を繋ぎ合わせていきます。最後にイラスト全体を1 枚の画像と捉え「Adobe Photoshop Lightroom」でさらに加工していきました。
ADAAにように、グラフィックという分野を舞台に世界中の学生が無料で参加できるこのコンペは、自分の実力がどの程度なのかを知る大きなチャンスになるに違いない。
特にこれからはグラフィック業界もグローバルな視点が必要となる時代。社会に出れば、作品も自己アピールも、高いプレゼンテーション能力が必要になる。ADAAへの応募は、その訓練のひとつにもなるだろう。学生の期間は思っている以上に短いもの。貴重な時間をADAAやそのほかのコンペに使うこともまた、有意義な課題のひとつになる。ADAAへの応募を糧にして、ぜひ学校以外の世界へチャレンジして欲しい。