IDC Japanは5月18日、国内企業のストレージ利用実態調査の結果を発表した。これによると、国内企業においてはストレージ仮想化などの新技術の導入が進みつつあるが、新技術を導入した企業の90%以上が「期待を上回る」「おおむね期待通り」と評価していることが明らかになった。

今回の調査は、ストレージ仮想化(外部ストレージ仮想化、シン・プロビジョニング、ファイル仮想化)、デ・デュプリケーション、階層型ストレージなどのストレージ新技術の導入意向、導入後の評価、サーバ/ストレージの更新や統合の増加に伴い課題になっているデータ移行などに焦点を当てている。

2011年のストレージ投資の重点として回答率が高かった5項目は、上から「データ量増大への対応」(回答率57.4%)、「バックアップの効率化」(43.6%)、「セキュリティの強化」(30.4%)、「バックアプ統合」(17.5%)、「災害対策」(15.3%)だった。

ストレージ/サーバー/HCP/PCs グループディレクターの森山正秋氏は、「今回の調査は東日本大震災以前に行われたが、データ保護や災害対策に関連した項目が上位に入っている。今回の震災や電力不足により、2011年はデータ保護や災害対策に関連した項目の優先順位が上昇する」と分析している。

ストレージ仮想化(外部ストレージ仮想化、シン・プロビジョニング、ファイル仮想化)、デ・デュプリケーション、階層型ストレージの導入後の評価については、すべての技術において、「期待を大きく上回った」「期待を上回った」「おおむね期待通り」という回答の合計が90%以上となった。「システムコストの抑制、インフラの有効利用、管理の効率化などを新技術の導入成果として挙げる企業が多いが、今後は運用管理の高度化、データ保護の強化、電力利用の効率化などが重要な導入目的になる」(同氏)

今回の調査では、データ移行が国内企業にとって重要な課題になっていることがわかった。国内企業のデータ移行は、サーバー/ストレージの更新/増設や統合、組織変更やデータセンターの統合などに伴って増加しており、回答企業の6割以上が前年と比較してデータ移行の回数が増えたと回答している。また、データ移行を実施した企業の3割が、「管理者の作業時間」「移行期間」「予算」の面で当初の計画をオーバーしたと回答している。

2011年のストレージ投資の重点、上位10項目(複数回答) 資料:IDC Japan