ソフトバンクテレコム、PSソリューションズ、米オラクル、日本オラクルは5月18日、クラウド事業で協業し、ソフトバンクテレコムが提供する企業向けクラウドサービス「ホワイトクラウド」において、オラクルの高速データベース・マシン「Oracle Exadata」とクラウド・マシン「Oracle Exalogic Elastic Cloud」で構成された企業向けIT基盤サービス「ホワイトクラウド エンタープライズ PaaS powered by Oracle」のベータ版サービスを7月より提供すると発表した。
日本オラクル 代表執行役社長 最高経営責任者 遠藤隆雄氏は、「当社はこれまでプライベートクラウドを推進してきたが、今回パブリッククラウドの提携を発表したということで大きな意義がある。今後、パブリッククラウド市場においてもオラクルのポジションを高めていきたい」と述べた。
同氏は、ソフトバンクをパブリッククラウドのパートナーとして選んだ理由について、「ソフトバンクは過去にパートナーとして当社の製品を販売してきたとともに、Exadataを始めて導入したユーザーでもある。加えて、ネットワークプロバイダーとして高い実績を持っており、これら3つの要素から、パブリッククラウドのベストパートナーと判断した」と説明した。
今回の協業では、オラクル米国本社も支援を行うということで、Oracle プロダクト・マーケティング担当 グループ・バイスプレジデント ロバート・シンプ氏が来日した。
ロバート氏は、「オラクルはクラウド市場の中で最も包括的なソリューションを提供しているベンダー」としたうえで、「オラクルのクラウド・コンピューティング戦略は、『企業利用に耐えうるサービスを保証』、『パブリッククラウドとプライベートクラウドの双方への対応』などが柱となっている。当社のパブリッククラウドとプライベートクラウドは同じインフラを利用しているため、顧客はワークロードを移動することができる。われわれ完全なインフラ・スタックを構築しているため、一貫したサービスを提供可能だ」と述べた。
また、オラクルとソフトバンクが提供するクラウドサービスを利用するメリットについては、「他社が提供するクラウドは最小限のインフラを提供しているだけで、ユーザーがその上にテクノロジースタックを構築する必要がある。これに対し、われわれのクラウドは完全なプラットフォームを提供するので、ユーザーはテクノロジーに手を煩わされることなく、ビジネスに集中できる」とした。
サービスの具体的な内容については、ソフトバンクテレコム 取締役専務執行役員兼CISOを務め、PSソリューションズ代表取締役社長も兼任する阿多親市氏が説明を行った。
同サービスには「Databaseモデル」、「Application Serverモデル」がある。今年7月頃からベータサービスの開始が予定されているのはExadataによるDatabaseモデルで、価格は1時間当たり2,980円からとなっている。Exalogic Elastic CloudによるApplication Serverモデルの提供は秋ごろ予定されており、価格は未定だ。
阿多氏は、「これまでのシステムは導入にあたって、効果がわからないのに、コストを払う必要があった。しかし、ユーザーからすると、システムが出来上がってから、コストを払いたいところ。さらに、簡単かつすぐに始められ、また、やめられるサービスを提供したかった」と、同サービスに対する思いを語った。
さらに、エンドユーザーからの視点ということで、一般のSaaSやクラウドサービスにありがちな初期費用や最低利用期間を撤廃し、1時間単位で完全に利用した分だけ支払う従量課金制が導入されている。
同氏は同社が提供するサービスの特徴の1つとして、オラクルの認定資格を取得した技術者を多数抱えており、技術的なサポートが十分行えることをアピールした。「PSソリューションズのオラクル製品のサポートをミッションの1つとしており、ソフトバンクからオラクルの資格認定者が出向して事業部を設けている」
オラクルでも同サービスを支援するため、10名程度のメンバーから構成される専任組織を設立しており、企業ユースのクラウドとしてのサポートの手厚さを押し出している。