日本アイ・ビー・エムは5月17日、東日本大震災からの復興に向けたサービス事業に関する説明会を行った。同社は4月に「節電」「事業継続・回復」「在宅勤務支援」「グローバル風評分析」を柱とする「危機管理・災害対策ソリューション」の体系化を発表している。
専務執行役員 グローバル・ビジネス・サービス事業 コンサルティング&SI 統括の椎木茂氏は、内閣府の資料「景気ウォッチャ一」を例に出し、「東日本大震災が日本に与えたインパクトは大きかったが、企業経営者のマインドはリ一マンショックの時に比べて落ち込みが小さく、『被害は大きいが立ち直ることができる』」と考えているようだ」と述べた。
また、震災が日本経済に与える影響としては、貿易黒字の減少、GDP水準の押し下げ、雇用の減少が挙げられた。さらに、同氏は「東京電力の原発事故により、企業の『西日本シフト』が起こっていると言われているが、浜岡原発も停止したため、国全体の電力供給量が下がっている。これにより、海外へのシフトがますます高まることが予想される」と説明した。
同社が震災からの復興支援策として描く「2011 夏のシナリオ」は、「節電対策」「BCP」「働き方改革」を柱に展開される。電力節減対策としては、「オフィスや工場のエネルギーの効率化」、「本社機能・拠点の再配置・最適化」、「在宅勤務/ワークスタイル変革」などを提案している。在宅勤務を実現するには、「インフラの整備が重要であり、また、ネットミーティングを運用するには、慣れるためのカルチャーを作る必要がある」と、同氏は述べた。
同社は電力削減のために、センサーからデータを収集し、そのデータを統合・分析・最適化するためのシステムを、グリッド、データベース、分析ツールなどから構成している。
説明会では、危機管理・災害対策ソリューションのうち節電に関するサービス「"2011夏" 節電シナリオ策定」が紹介された。同社では、顧客が節電について抱えている課題として、「個別の電力削減施策はあがってくるが、『25%削減のための』全体計画が策定できていない」または「大胆な施策を考えているが、ビジネスへの影響を把握していない」という2点を仮定して、エネルギー削減のための提案を行っていく。
同サービスでは、1週間から2週間で「大胆なエネルギー削減」に向けたアクションプランを策定し、シミュレーターを活用することで電力削減によるビジネスに対するインパクトを最小限に抑える。
同サービスにはこれまで同社が40年にわたって実施してきた節電対策に関するノウハウが生かされており、同社が実際にグローバルで行っている取り組みが紹介された。
同社では、地域ごとに使用した電力量や電力コストが可視化されている。そのデータはダッシュボードとして表示され、課題抽出に用いられる。例えば、フロアごとにCO2排出量の基準値を超えているといったアラートを表示させることもできる。使用電力が多かった事業部はLotus Liveを用いたミーティングに参加し、節電プロジェクトを統括する総務部に状況を説明するとともに課題解決のための対策を講じてもらうことが可能になる。