グーグル 代表取締役の有馬誠氏 |
グーグルは5月16日、東日本大震災の被災地支援活動の一環として、「東日本ビジネス支援サイト」と「未来へのキオク」の2つのWebサイトを立ち上げたことを発表した。
発表会にはグーグル 代表取締役の有馬誠氏も登壇。震災直後から、被災者に必要な情報を届けるために安否確認システム「パーソンファインダー」や通行実績マップ、航空写真情報、YouTube消息情報チャンネルなどを提供してきたことを振り返ったうえで、「これからは復興を支援するフェーズに入る」と説明。ユーザーの声に応じるかたちで、「東日本ビジネス支援サイト」と「未来へのキオク」という、2つのプロジェクトを開始したこと紹介した。
営業店舗を地図から確認できる、東日本ビジネス支援サイト
これらのうち、東日本ビジネス支援サイトは、すでに提供されている「ビジネスファインダー」と「YouTube ビジネス支援チャンネル」の情報をまとめたもの。ビジネスファインダーは、被災した地域の店舗や企業の営業情報を登録すると、その内容が一般のユーザーに対して公開されるシステムだが、情報に辿り着くには、ユーザーが場所/業種/店舗名などで検索を行うなど、自発的に情報を探す必要があった。YouTubeビジネス支援チャンネルについても同様で、青森、岩手、宮城、福島、茨城の5県の地元新聞社の協力を得て、営業を開始した店舗の紹介動画を掲載してきたが、ユーザーが自ら目的の動画を見つけ出さなければならなかったという。
それに対して、東日本ビジネス支援サイトでは、ビジネスファインダーおよびYouTube ビジネス支援チャンネルで登録された情報をGoogle Map上に表示。地図上から営業中の店舗の場所を確認し、営業状況を紹介する動画へと遷移できるようになっている。
なお、YouTube ビジネス支援チャンネルについては、「アノテーション」と呼ばれる機能を使って動画の中にWebサイトへのリンクを組み込むことが可能。各店舗が運営するショッピングサイトなどに視聴者を誘導することができ、ビジネス機会の創出に一役買っているという。
失われた被災地の写真/動画を未来に残す、未来へのキオク
一方の未来へのキオクは、被災地にまつわる写真や動画を広く募集し、それらを集約するサイトを作成しようというもの。震災により、思い出の写真や動画を失った方が多いうえ、各地域の祭事や学校行事なども再開の目処が立っていないことから、記録を集めて未来に残してほしいという声が多数寄せられており、それに応えるかたちでプロジェクトが立ち上がったという。
同サイトでは、被災前の町の風景に加えて、被災地の現在の様子や復興の様子、被災当日の様々な体験などを伝える写真や動画も募集する。投稿は、特設サイトのほか、PicasaやYouTubeからも行える。Picasa/YouTubeを利用する場合は、通常のアップロード作業の中で「miraikioku」というタグを追加するだけ。閲覧サイトでは、東日本ビジネス支援サイトと同様、地図上から表示させたり、時間やイベント名で検索できるようにする予定であるため、グーグルでは「撮影日時や撮影場所などの情報を極力入力してほしい」と呼びかけている。
閲覧サイトは5月下旬に公開される予定になっている。