ルネサス エレクトロニクスは、CD/DVD/BDプレーヤー装置向け受光ダイオードICの開発・製品化で培ってきた技術を応用し、ディスプレイを見やすい明るさに自動調整するなどの性能向上および低消費電力化に貢献する照度センサ市場への参入を決定し、「PH5551A2NA1」の名称で、サンプル出荷を開始したことを発表した。サンプル価格は100円で、量産は2011年5月から月産100万個で開始する計画となっている。
照度センサは人間の感じる明るさを検知し、その明るさに応じた信号をマイコンなどに出力するデバイス。従来こうした用途には硫化カドミウムを使った光センサなどが広く使用されていたが、環境負荷軽減に向けてシリコンを用いた照度センサの需要が高まっていることが見込まれ、今後、デジタル家電、携帯端末、FA機器、照明機器などに搭載され、2011年度から2013年度は年平均成長率20%の市場拡大が見込まれている。
同製品は、同社が受光ダイオードICの開発・製品化において培ってきた透明樹脂パッケージ設計技術と製造技術を活かし、1.56mm×2.55mm×0.55mmの小型透明樹脂SONパッケージおよびピン間距離0.5mmの確保を実現しており、基板内の高密度実装の容易化を実現している。
また、波長感度の異なる複数の受光部からの信号を内部回路で演算処理することにより、蛍光灯、LED照明、白熱灯などの様々な光源に対する感度の変動を、±20%に抑えており、これにより、照明環境によらず、人間の感じる明るさに応じた制御が可能となっている。
さらに、照度センサのデジタル信号出力用途として一般的なI2C Busのスレーブアドレス(識別番号)を2つ搭載しているため、1つのマイコンに複数の照度センサを接続し、必要に応じて使い分けることが可能なほか、あらかじめ設定された照度のしきい値を超えた場合、マイコンなどのマスタ側へ信号を出力するインタラプト(割り込み)機能を内蔵しているため、マイコンがセンサとの通信を常時行う必要がなく、マイコンの負荷軽減が可能となっている。
なお、同社ではディスプレイ搭載機器に向けて、自動輝度調整をはじめとする性能向上・低消費電力化・小型化に貢献する照度センサの製品開発を促進し、市場投入を図っていくとしている。