Facebookの依頼を受けたPR大手Burson-Marstellerが、Googleのソーシャル機能のプライバシー侵害を批判する記事を密かにブロガーなどに依頼していたことが先週明らかになった。「Google中傷キャンペーンの黒幕はFacebook」というように報じられているが、ソーシャル機能を拡充させるGoogleに対してFacebookがネガティブキャンペーンを仕掛けても不思議ではない。シリコンバレーのPR関係者を驚かせているのは、むしろ依頼を受けたBurson-Marstellerのお粗末なやり方である。
この騒動はGoogleのSocial Circle機能のプライバシー侵害を指摘する記事を書くように、Burson-Marstellerが依頼主の名前を伏せたまま、ブロガーやメディアに働きかけたことに始まる。そのステルスキャンペーンのようなやり方に疑問を持ったブロガーがBursonからの打診内容を公開。それから依頼主捜しが始まり、Microsoft、Apple、AT&Tなどの名前が取り沙汰されたが、The Daily Beastが12日に背後にいるのはFacebookであると報じた。
ステルスキャンペーンというだけだったら、これほど大きな騒ぎにはならなかっただろう。問題は、Burson-Marstellerがブロガーなどに示したGoogleのSocial Circleなどに関する文書だ。Googleのプライバシー保護対策に疑問を呈する表現に偏りがあり、問題提起とは別の意図が容易に見透かされるような内容だった。信頼できるメディアやオピニオンリーダーからの理解を得るにはあまりにも稚拙で、逆にキャンペーン自体が問題視されるであろうことは容易に想像できたはずだ。
Daily Beastによる報道のあと、Facebookはいくつかのメディアに対してBurson-Marstellerへの依頼を認めた。中傷キャンペーンはFacebookの意図ではなく、Bursonに対してキャンペーンの実施を認めたことはないとした上で、独立したメディアやアナリストの手によって情報が検証され、Googleの問題に一般の関心を集めることが、匿名を条件にした依頼の目的であると説明した。
Burson-MarstellerもFacebookからの依頼内容を認める声明を公開したが、クライアントを隠したことについては「これは通常のプロセスではなく、われわれのポリシーに反するもので、どのような理由であれ、このような条件での依頼は断るべきだった」と、やんわりとFacebookを非難。騒動はこれで終わらず、BursonがFacebookページのWallから同社にとって不都合なコメントを削除しているとネットユーザーの指摘を受け、再び陳謝。クライシスマネージメントに優れたPR会社として知られるBursonとは思えぬ迷走ぶりで、今に至る。
The Daily Beastによると、今回のキャンペーンはBurson-Marstellerの新しいスタッフ2人が進めていた。1人は元CNBCの技術レポーターで、もう1人は元政治レポーター。このようなチームを新たに用意しているあたり、Facebookという新しいクライアントにBursonがふり回されていたのではないかと考えさせられる。同社の強みを発揮できるやり方で、Facebookの要求に応えなかったのが今回の騒動の原因なのかもしれない。キャンペーンを担当した2人はBursonのトレーニングプログラムで再教育を受けるという。