ルネサス エレクトロニクスは5月13日、IGBT保護機能を内蔵したフォトカプラ「PS9402」を製品化し、即日サンプル出荷を開始したことを発表した。サンプル価格は500円、量産は2011年度下期より月産100万個を計画している。
同製品は、発光素子であるGaAlAsLEDと受光IC、ならびにIGBT保護用回路で構成され、モータ制御をはじめインバータ機器で使用されるIGBTを駆動するためのフォトカプラで、これを用いることで、IGBT駆動周辺回路設計が容易になる上、1200Vかつ100AクラスまでのIGBTを直接駆動することができるようになるほか、16ピンSOPパッケージを採用しているため、システムの小型化も可能になるという。
フォトカプラに接続されるIGBTに異常(短絡)が発生した際、IGBTのコレクタ-エミッタ間電圧が上昇し、IGBTが故障する可能性があるが、同製品はこのIGBTの上昇したコレクタ-エミッタ間電圧を検出し、IGBTをオフする機能を持つほか、IGBTをオフする際のノイズ発生を抑制するソフトターンオフ機能、マイコンへ異常オフしたことを知らせるフォルト信号出力、異常検出後は最短5μs後に自動的に復帰するオートリセット機能を搭載することで、こうした故障の可能性を低減している。
また、フォトカプラに接続されるIGBTのオフ動作の際に、コレクタ-ゲート間容量に流れる電流(ミラー電流)により、ゲート電圧が発生し誤動作を起こすことがあるが、アクティブミラークランプ回路を内蔵することで、ミラー電流を吸収し、ゲート電圧の上昇を防げるため、誤動作の防止が可能となっている。
さらに、独自のBiCMOSプロセスを受光ICに採用することで、寄生容量の低減を行い、遅延時間を短縮(tPHL、tPLH≦200ns)するとともに回路駆動の消費電流を低減(Icc≦3mA)。これによりインバータ制御回路の精度向上および低消費電力化が可能となったことに加え、回路電流を低く抑えたことでIGBTを駆動するシステム内の電源の小型化も可能になるため、システム全体の小型化も可能になるという。
なお、同社では今後、インバータ機器の開発容易化および小型化を目指した高温・高出力対応の製品開発を行っていく計画としている。