5月12日、帝国データバンクと東京商工リサーチから2011年4月の全国企業倒産の集計結果が発表された。同月の倒産件数と負債総額は、帝国データの発表では956件/2,636億2,900万円、商工リサーチの発表では1,076件/2,795億6,700万円となっている。
帝国データバンクの調査結果
2011年4月の全国企業倒産の件数は、前月比(1,041件)比で8.2%の減少、前年同月比(962件)も0.6%の減少となった。3ヵ月連続で前年同月を下回ったが、ほぼ横ばいとなり、減少幅は2月(前年同月比8.5%減)、3月(同9.3%減)に比べて大幅に縮小した。
2011年3月の全国企業の負債総額は、前月(2,910億7,500万円)比は9.4%の減少となったが、前年同月(2,545億800万円)比は3.6%の増加で、6ヵ月ぶりに前年同月を上回った。
全国企業倒産件数・負債総額の推移 資料:帝国データバンク |
業種別では、製造、卸売、運輸・通信の3業種で前年同月を下回り、卸売業(113件)、運輸・通信業(30件)の2業種は前年同月比20%超の大幅減少となった。一方、建設業(247件、前年同月比5.6%増)、小売業(175件、同10.1%増)など4業種は前年同月を上回った。
地域別では、9地域中4地域で前年同月を下回り、なかでも東北(27件)は前年同月比44.9%の大幅減少となり、岩手(1件)や山形(2件)などで減少が目立った。一方、関東(383件、前年同月比4.4%増)、北陸(29件、同11.5%増)など、5地域は前年同月を上回った。
商工リサーチの調査結果
2011年4月の倒産件数は、前年同月(1154件)比で6.7%の減少となり、21ヵ月連続で前年同月を下回った。連続減少期間としては、1971年6月から1973年4月までの23ヵ月連続に次ぐ過去4番目の長さ。
4月としては、最近20年間で2005年(946件)に次いで2番目に少ない水準だった。依然として中小企業金融円滑化法や景気対応緊急保証制度(今年3月で取扱終了)などの金融支援効果による倒産抑制が続いている。
東日本大震災関連の経営破綻は5月11日時点で86件に上る。その理由は「倒産」と「実質破綻」に二分され、倒産は4月末までに33件(3月8件、4月25件)で、5月に入ってもすでに13件発生している。また「弁護士一任」や「破産準備中」など現時点で倒産として集計できない「実質破綻」も40件ある。
2011年3月の負債総額は、前年同月(2,699億9,600万円)比3.5%増で、6ヵ月ぶりに前年同月を上回った。ただし、1億円未満の構成比が66.3%を占めるなど、小・零細規模の企業倒産が中心だった。
産業別では、農・林・漁・鉱業・建設業・製造業・卸売業・小売業・金融/保険業・不動産業・運輸業・情報通信業・サービス業他の10産業のうち、6産業が前年同月を下回った。増加したのは、農・林・漁・鉱業33.3%増(6件→8件)、不動産業11.1%増(36件→40件)、サービス業他6.9%増(215件→230件)の3産業。
地区別では、北海道・東北・関東・中部北陸・近畿・中国・四国・九州の9地区のうち、6地区が前年同月比を下回った。増加したのは、北海道15.5%増(45件→52件)、北陸11.1%増(27件→30件)、中部10.7%増(121件→134件)の3地区だった。