パナソニック セミコンダクター社は5月12日、同社MOSイメージセンサ「νMaicovicon」の高感度化と、薄型カメラで問題となる画像の色ムラや輝度ムラを抑制した画質の均一性とを両立する、高感度・高画質MOSイメージセンサ「SmartFSI」技術を開発したことを発表した。
現行の高感度MOSイメージセンサは、感度性能と動画性能に特長を持っており、一方のCCDでは、混色がなく色ムラが抑制できるという特長を持っているが、カメラのさらなる高画質化と薄型化および市場拡大に伴い、高感度化と画質の均一性の両立に加え、動画性能や供給安定性も満足するイメージセンサが求められていた。
同社では今回、集光率と光電変換効率を向上させるため、配線層の低背化および開口面積とフォトダイオード体積の拡大を可能とする、32nmおよび45nmプロセス技術を採用することで、3050el/lx/sec/μm2の感度を実現した。
また、カメラの薄型化にともない、カメラレンズとイメージセンサの距離が短くなり、カメラレンズを通ってイメージセンサへ届く入射光の角度は、センサ周辺の画素では大きくなる。これにより、隣接画素へ光が混ざる混色現象や光を集める能力である集光率の低下が起きるため、画像の中心部と周辺部で色や明るさの違いが生じ、色ムラや輝度ムラが顕著となるといった課題に対し、3次元波動設計を駆使することで、構造境界面での光の漏れを最小化し、低混色性能を強化する、集光設計技術の採用による画質の均一性が確保できる新集光構造を実現。画質の均一性の高いCCDと同等以上の色ムラや輝度ムラのない入射光の角度を拡大し、高画質かつ薄型なカメラを実現した。
さらに、従来のMOSイメージセンサ構造を基本としたことによるシンプルな製造工程を実現したことで、供給安定性も確保している。
そのため、同技術を採用した1424万画素(有効画素)、1/2.33型の製品「MN34110」を同社では2011年12月より、デジタルカメラ向けに量産を開始し、順次シリーズ展開していく予定としている。