NECは5月10日、都内で2010年度通期の決算発表を行うとともに、今年度の通期業績予想を発表した。2010年度の連結売上高は3兆1154億円(前年度比13.1%減)、最終損益は125億円の赤字となった(前年度は114億円の黒字)。
売上高が前年度比-13.1%と大きく減少した主な要因はNECエレクトロニクス(現ルネサスエレクトロニクス)の非連結子会社化や国内IT投資の回復遅れ、震災の影響とされ、同社は今回、震災に関連する特別損失として約60億円を計上している。
本業の儲けを示す営業利益は前年度比69億円増となる578億円の黒字となっているが、これも上述のNECエレクトロニクス非連結子会社化の影響が大きい。
経常利益は株式売却益の減少などにより、前年同期比で494億円減となる4000万円の利益にとどまっている。
これらの要素を踏まえた最終損益(当期純損益)は、前年度比239億円減となる125億円の赤字となった。
分野別では、仮想化技術によるシステム統合ソリューションや運用管理ソフトウェアなどの販売が好調だったとされるプラットフォーム事業や、WBA(LTEなどを含むワイヤレスブロードバンドアクセス)・海洋システムなどの業績が下期から回復したとされるキャリアネットワーク事業が増益となったものの、その他の事業(ITサービス、社会インフラ、パーソナルソリューション)はすべて減益となっている。
遠藤社長は、業績予想の大幅な下方修正や当期赤字、年間無配となった結果に対して「スピード感が足りず、マネジメントの大きな責任であると反省している」と説明。今後は会議体の見直しを含めたPDCAサイクルの迅速化などによって業務プロセスの改善を図りたいとしている。
同社は今回の決算発表に際して、今期(2011年度)の通期業績予想を発表。売上高は3兆3000億円(2010年度比1846億円増)、営業利益は900億円(同322億円増)、経常利益は550億円(同550億円増)、当期純損益は150億円(同275億円増)の黒字を見込む。
なお同社は、2011年度における海外売上比率について「当社が得意とするアジアや中南米地域への注力に加え、欧州や米国での存在感も高める」(遠藤社長)といった要素も踏まえて20%(2010年度は15%)まで引き上げる考えを明らかにしている。