パナソニックは4月28日、同社の2010年度(2011年3月期)決算発表と併せて「2011年度事業方針」も発表し、今年度の同社の方向性および3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の影響などの状況説明を行った。
自社工場の復旧は進むも、サプライチェーンが混乱
説明を行った同社代表取締役社長 大坪文雄氏は、まず震災からの生産拠点の復旧状況を説明。4月28日時点では、パナソニック液晶ディスプレイの茂原工場以外の設備復旧が完了し、一部はフル稼働の状況まで持ち直したほか、同茂原工場も同日より生産を再開したとした。
しかし、その一方でサプライチェーンの混乱が続いており、「今回の震災では、他で代替することが難しい材料やデバイスを製造する企業が、数多く被災している。当社の商品でも、マイコン、コンデンサなどの特定の部材が入らないために、減産を余儀なくされているものが多くあるほか、供給先のセットメーカーの生産が停滞しているために、納入できない部品や機器もある」とし、こうした混乱は短期間でただでさえ元の状態に戻るのが難しいことに加え、電力の使用制限や、放射能汚染に関する検査対応も、復旧への足かせとなることが懸念されると、今後も復旧に向けた不透明性が続くとの見方を示した。
「被災地に対しては、今後もできる限りの支援を続けるとともに、 1日も早い事業の復旧に向けて、調達戦略の見直し、電力使用制限への対応など、グループを挙げた取組みを加速していく」とするほか、「次のリスクに備え、主要拠点の防災対策を見直すほか、グローバルな拠点戦略を再構築する、といったことも、着実に進めていく」とし、その一環として、震災による、業績への悪影響に対し、売り上げの変動に見合った経費や投資の削減を行うことも必須であるとした。ただし、「当社にとって何より大切なことは、本業の商品・事業で、復興に貢献することであり、それが結果として、業績へのダメージを抑えることにもつながってくる」と、震災からの復興にパナソニックが役に立つことが、結果として業績にもつながってくることを強調した。
こうした震災復興に向け、同社では、「被災地を含む、東日本地域の切迫したニーズとして、電力不足や停電への対策がある」とし、省エネ機器の普及、創エネ、蓄エネ、エネルギーマネジメントの新提案による「エネルギー利用の先進モデルを創り上げる役割を、積極的に果たしていく」とする。
また、今回の震災を受けて、今までにない、「災害に強い社会」の実現が望まれることから、「エネルギー」に「安心・安全」を加えた、同社ならではの「家まるごと、ビルまるごと、街まるごとのソリューション」を提案していくことで、本格的な復興へのリーダーシップを発揮していくとした。