Texas Instruments(TI)は、同社が2010年に発売したアナログ・フロントエンド(AFE)ファミリ「ADS1298」をベースに、オンチップの呼吸インピーダンス測定機能を内蔵した、全機能内蔵AFE製品「ADS1298R」ファミリを発表した。同ファミリの各デバイスは、8チャネル内蔵の「ADS1298R」、6チャネル内蔵の「ADS1296R」および4チャネル内蔵の「ADS1294R」の各製品がすでにBGAパッケージで提供を開始しており、1000個受注時の単価(参考価格)はADS1298Rで25.95ドル、ADS1296Rが19.95ドル、ADS1294Rが13.95ドルとなっている。
同ファミリは、20mΩの分解能で呼吸インピーダンス測定機能を提供することから、呼吸の正確なモニタ、また心電異常との相関をとることができる。また、44個のディスクリート製品を集積しているため、基板実装面積を従来ソリューション比で最高97%縮小することができる。
ADS1298Rは、それぞれ8個のA/Dコンバータ、プログラマブル・ゲイン・アンプ(PGA)、アクティブ・フィルタを内蔵、またユーザー選択が可能な位相調整付きの呼吸インピーダンス測定機能のほか、ペースメーカーパルス検出用インタフェース、電極はずれ検出機能、電圧リファレンス、右足ドライブ(RLD)回路その他をオンチップに集積しており、ポータブルの心電計(ECG)機器における呼吸検出機能の構築を簡素化することができる。
ADS1298Rは750μW/チャネルの低消費電力を実現しており、ディスクリート部品で構成される設計と比較して95%低い消費電力特性を実現することが可能だ。また複数のパワーダウン設定を備えており、ポータブル医療用モニタ機器においてバッテリ動作時間の延長が可能となる。
3製品ともに4μVp-p(typ)の入力換算電圧ノイズ特性を備えており、国際電気標準会議(IEC)制定のIEC60601-2-27/51標準規格に比べても優れた特性を提供しているため、ポータブルおよびリード(電極)数の多いECG機器において、高い精度特性を実現することが可能となる。