シャープ 代表取締役兼副社長執行役員 安達俊雄氏

シャープは4月27日、2010年度通期の連結業績(4月1日 - 3月31日)を発表した。これによると、同期の売上高は前年同期比109.7%の3兆219億円、営業利益は同152.0%の788億円、経常利益は同190.8%の591億円、純利益は同441.2%の194億円と、大幅な利益改善を達成している。

代表取締役兼副社長執行役員 安達俊雄氏は、東日本大震災の影響について、「当社の工場などは大きな被害はなかったが、3月11日以降に営業利益が急激に減少している。また、事業の不透明さが増しているので、2011年度の予測の発表は控えている」と説明した。

昨年10月28日に発表された予想に対し、売上高は780億円減、営業利益は111億円減、経常利益は41億円増、当期純利益は105億円減となっている。

シャープの事業部門(セグメント)は、エレクトロニクス機器と電子部品に大別できる。エレクトロニクス機器はAV・通信機器、健康・環境機器、情報機器の3部門から構成され、2010年度の売上高は前年同期比106.9%の1兆9,705億円、営業利益は同149.3%の792億円となっている。エレクトロニクスの柱となるAV・通信機器は家電エコポイント制度の駆け込み需要とブルーレイディスクレコーダーの伸びから、前年同期比261.8%の営業利益407億円を達成している。

電子部品は、液晶、太陽電池、その他電子デバイスから構成され、売上高は前年同期比113.0%の1兆5,540億円、営業利益は同87.6%の307億円となった。太陽電池は、売上高は前年同期比127.2%の2,655億円と大幅増となったが、営業利益は前年同期比41.3%と大幅減となった。

同氏は、太陽電池の利幅が小さい理由として、先行投資が続いた中で回収が遅れていることなどを挙げた。現在、薄膜太陽電池を含めてコストダウンを行っているほか、地産地消の実施によって、収益改善を図っていくという。

主要製品である液晶カラーテレビは、売上高が前年同期比120.5%の8,035億円と好調だった。販売台数は期首予想では1,500万台だったが、震災の影響で同145.5%の1,482台だった。同氏は、液晶カラーテレビの状況について、「国内はAQUOSクアトロンが特に好調で、販売台数は6割増だった一方、海外では中国が好調で2ケタの伸びを見せた。国内はエコポイントが終了し、アナログ放送が終了する今年後半は厳しいことが見込まれる。しかし、海外は引き続き堅調だろう」と説明した。

同社は今後業績向上に向けて、亀山第1工場における中小型液晶生産に向けた設備導入の推進、亀山第2工場における一部ラインの中小型液晶への転換、中国G6ラインでの大型液晶生産の本格稼働、イタリアにおける薄膜太陽電池生産会社の稼働開始、リカレントによるソーラーディベロッパー事業の展開を行う。