ウォッチガード・テクノロジー・ジャパンは4月26日、パートナー向けカンファレンス「WatchGuard Partner Forum 2011」を開催した。同カンファレンスでは、代表取締役社長の本富顕弘氏が2011年の戦略を説明したほか、今年発表されたUTM向け新OS「Fireware XTM 11.4」日本語版の新機能の紹介などが行われた。
「Best in Class、Best of Breed」が強み
本富氏は、2010年度の同社の成果として、「最高売上の達成」「UTMアプライアンス『WatchGuard XTM 2 Series』と『同 5 Series』の拡販」「UTM MSS(Managed Security Service)の開拓」「連携/組込みソリューションの開発」などを挙げた。
「グローバルではUTMの売上が3分の2を占めるが、日本の売上はUTMとMSSが2分している。MSSが好調だったのは、XTMを活用できたことが大きかった。米国ではキャリアやデータセンターに拡販する戦略もとられているが、日本ではSMBでのニーズが高かった」
同社は昨年末、「RED(Reputation Enabled Defense)」というクラウドベースのセキュリティをリリースした。同サービスは、クラウドを介してWebサイト・IPアドレス・URLのレピュテーションを全世界のユーザーから収集し、情報をシェアするという仕組みだ。
同氏は、「昨年辺りから、シグネチャベースのセキュリティ対策では追いつかなくなってきた。そこで、当社は新たな対策として、クラウド上のデータベースにセキュリティリスクの情報を収集してシェアするというサービスをリリースした」と述べた。昨年は、REDと合わせてアプリケーション・コントロール機能の提供も始まった。
このREDとアプリケーション・コントロールは、同社の2011年度の成長戦略の柱の1つとなる。加えて、同社のUTMの製品戦略である「Best in Class、Best of Breed」も2011年度の成長戦略だ。UTMベンダーは、ハードウェアからウイルス対策ソフトなどのソフトウェアまですべて自社で開発するベンダーと、同社のようにハードウェアは自社で開発してソフトウェアは他社から供給を受けるベンダーとに分けられる。
同氏は、「数百人しかいない企業で、ウイルス対策、Webフィルタリング、スパム対策、IPSといったUTMに必要な機能をすべてまかなうことは難しい。それならば、各セキュリティ機能のエキスパートが開発した製品をバンドルするほうが技術的にも価格的にも、すべて自社開発のUTMよりもアドバンテージがある」と、同社のUTMの優位性をアピールした。
今後のマーケティングの計画として、UTMの新製品である「XTM 2050」と「XTM 33」がローンチされることが明かされた。XTM 33は、現行のXTM 2とXTM 5にはスペックの観点から開きがあるため、その間を埋める製品だという。
狙いは中堅向けアプリケーション・コントロール市場
XTM11.Xとして初の日本語対応がなされた「XTM 11.4」の詳細については、営業部長の真田賢太氏が説明を行った。
同氏が肌で感じたビジネスの活況について、「20人以下の企業におけるUTMの需要が高く、XTM 2シリーズが売れている。また、MSSはファイアウォールとXTMが売れている。ファイアウォールは導入したらほったらかしでよいルータと違ってマネジメントが必要なため、機能が追加されており、売り方も変わってきている」と説明した。
XTM 11.4はドキュメント、プログラム、インタフェース、ヘルプなどすべてにおいて日本語対応が行われた。これにより、50人以下の企業での開拓が進んだという。その他の新機能としては、変更直前の設定ファイルに復元できる「コンフィグファイル機能」、「スケジュールに基づく不正アクセスポイントのスキャン機能」、「ドロップインモードHA」、「すべてのProxy設定をWebインタフェースで設定可能になった点」が紹介された。
前述したように、アプリケーション・コントロール機能はXTM 11.4の目玉機能の1つだが、同氏は、「アプリケーション・コントロール製品の競合として、パロアルトネットワークス、フォーティネット、ソニックウォールなどがいるが、成功しているのは大規模企業をターゲットとしているパロアルトだけ。われわれは、『流行しているアプリケーションへのスピーディな対応』、『対応しているアプリケーション数の多さ』、『処理性能が劣化しないこと』などを売りとして、中堅市場を狙っていきたい」と、アプリケーション・コントロール市場に対する自信を見せた。