アドビ システムズが主催するワールドコンペティション「Adobe Design Achievement Awards」。本コンペでは、現在、全世界の学生・教職員を対象に様々な作品を募集している。同社の担当者に本コンペに参加する意義などを聞いた。

「目指すは世界! クリエイティブに国境はないんです」

同社マーケティング本部・教育市場部担当、増渕賢一郎氏

「日本の学生の皆さんに、もっとADAAを知ってもらいたい。そのための活動をこれから活発にしていきます」と話すのは、同社のマーケティング本部・教育市場部担当の増渕賢一郎氏と榊原卓朗氏だ。

「Webサイトなどの既存のメディアに加え、PixivやYouTubeといった作品発表の場所は大きく広がっています。そこでいろいろなレスポンスがあり、コミュニケーションが生まれているかもしれません。でも、コンペに参加する意味はこうした自分発信のものとは違い、評価されることにあるんです。ADAAの場合、審査員は欧米の美術大学やアートカレッジの教授陣を中心に、第一線で活躍するクリエイター達です。その人たちに直接自分の作品を見てもらえる。そして、同じ夢を持っている世界の若者と同じ条件で審査される。この緊張感が、クリエイティビティに良い刺激を与えると考えています。学校の中にいると狭くなりがちな視野も広がるでしょうし、自分の実力を知ることにもなるでしょう。でも、応募しなければ何も始まりません。ADAAは、応募も無料、作品を送るだけでOKですから、ノーリスクなんです。学生の皆さんには腕試しの気持ちで、自分を表現する作品をどんどん出していただきたいですね」(増渕談)

選考結果は、本コンテストのWebサイトで随時公表される。現在、第二次作品募集と平行してセミファイナリストが続々と発表されており、その国籍、顔ぶれは実に多彩。そして、こんなにもクリエイティブ分野とは幅広いものかと驚かされる。世界的なコンペティションとあって応募書類は英語が必須だが、これに尻込みしてしまう人も多いのだとか。

同社マーケティング本部・教育市場部担当、榊原卓朗氏

「確かに応募書類の書式は英語が求められますが、難しく考えなくても良いんです。要は、自分がどうやって作品を作ったか、テーマは何か、この作品を通じて何を伝えたいのかが審査員に伝わればOKです。極端な話、多少文法が間違っていても、単語だけが並んでいても、作品に力があれば次のステージに進めます。英語のテストをやっているわけではないので、そこは気軽に考えてください。審査員が見るのはあくまでも作品であり、得点の対象となるのは才能、品質、技術の3点ですから。とはいえ、社会に出れば、プレゼンテーションは重要な仕事のひとつです。誰かに自分のアイデンティティと作品を伝えること、この訓練のひとつだと思って取り組んでもらえれば、そう難しくないステップだと思います」(増渕談)

日本におけるADAAの認知度は、残念ながらそれほど高くはないのが現状。しかし、欧米ではセミファイナル、ファイナルと残ることがひとつのステイタスとなり、就職にもかなり有用なツールとなっているようだ。

「ADAAのコミュニティの中では、"ファイナルに残ったクリエイターを有名クリエイティブ事務所が青田買いする"、"審査員が知り合いのディレクターに紹介する"といった、人材発掘も行われているようです。もちろん、すべての人がそうなるというわけではないですが、今の時代、日本だけに目を向けてクリエイティブワークを行うのはナンセンスでしょう? 才能ある若いクリエイターには、早い段階で世界に目を向けて欲しい、注目して欲しいということが、このコンペティションを主催するアドビ システムズの願いでもあるのです」(榊原談)

ちょうど季節は5月の大型連休目前。そろそろ就職用のポートフォリオも出来上がっている頃ではないだろうか。「これぞ自信作! 」という作品が手元にあって「ADAAってちょっと面白そう! 」と思ったら、公式サイトや、Facebookを見てほしい。公式サイトでは、詳しい応募方法や応募者登録、作品のアップロードなどが行える。そして、過去のファイナリストによる作品や現在審査中のセミファイナリストを見ることができる。審査員の顔ぶれを見て応募を決めるのも良いだろう。とにかく、応募しなければ前には進めないのだから。