Windows Azureにどういう印象を受けますか? 雲の上の不思議な世界ですか? それとも、開発者の方々が活躍する分野のイメージですか?

実は違うんです。ITProも活躍できる分野が大きく広がっています。これから実際に触って、読者の皆様と一緒に体験していきます。なお、ITProとして当たり前ですが、本連載ではプログラムは書きません。GUIと設定ファイルの設定と少しのスクリプトで頑張ります。

執筆者紹介

WINGSプロジェクト bird982000(監修 : 山田祥寛)


WINGSプロジェクトについて>テクニカル執筆プロジェクト(代表山田祥寛)。海外記事の翻訳から、主にWeb開発分野の書籍・雑誌/Web記事の執筆、講演等を幅広く手がける。2011年4月時点での登録メンバは36 名で、現在も一緒に執筆をできる有志を募集中。

Windows Azureの概要

実際に触れていく前に、Windows Azureというキーワードを簡単に解説します。

皆さんもご承知の通り、Windows Azureは、マイクロソフトが提供しているクラウドサービスです。ホスティングサービスの進化系のクラウドサービスを中心として、ホスティングサービスの他にストレージサービスやリレーショナルデータベース機能、自社所有サーバーとの連携機能など、サービスを使いやすくするミドルウェア機能群が組み込まれるかたちで、1つのサービスブランドが形成されています。

サービスを実現するサーバー群は海外の複数箇所に分散しているため、先日の東日本大震災の後には、事業継続計画(BCP : Business Continuity Plan)の面で大きな注目を集めるなど、さまざまな可能性が取りざたされてきています。

図1 : Windows Azureのサービス群

その中で今回はWindows Azureのホスティング部分を使っていきます。ホスティング部分はコンピューティングと呼ばれており、物理的なサーバー群はマイクロソフトが管理しています。我々ユーザーは物理的なサーバーを意識せずに仮想化されたOS環境を操作していけばよいのです。仮想化環境に由来する特有の制限やデメリットなどはありますが、実際にサーバーを購入したり、月次の契約でホスティングサーバーを利用したりするのに比べて、すぐにサーバーを使い始められ、負荷が増えた際には簡単にサーバーを増強して負荷分散ができるのが大きなメリットです。

仮想環境用のOSイメージは既に用意されていて、以下の表のように使い分けられます。大雑把に言うと、WebロールとWorkerロールの差はIIS(Internet Information Services) のインストール有無による差です。

Windows Azureの各OSイメージ

OSイメージ 機能
Webロール Webサービスのフロント処理を想定したIISインストール済みのOSイメージ
Workerロール バックグラウンド処理での使用を想定した汎用的なOSイメージ
VMロール ユーザーが作成したそのユーザー固有のOSイメージ

開発者の場合は、各ロール上でアプリケーションを作成してAzureのプラットホームに配置しますが、ITProの方の場合はおそらくアプリケーションを作成しないでしょうから、実際はこのサーバーに対してリモートデスクトップ接続で入って普通にWindows Server 2008を操作する感覚で操作することになるだろうと思います。本来ならリモートデスクトップ接続は障害調査や状況確認を意図してマイクロソフトから提供されている機能なのですが、実はかなり柔軟性が高く、さまざまな操作をすることもできます。

では、これからこのプラットホームを読者の皆さんと一緒に使用していきます。