GMOインターネットが提供するソーシャルアプリ専用設計のホスティングサービスが「GMOアプリクラウド」だ。サービスの内容を紹介する前に、もしかすると「GMOアプリクラウド」のWebサイトを見てもらった方がいいかもしれないが、ここには同社が運用実績を持つソーシャルアプリ運営者から、同社のサービスに対する率直なコメントがタイトルごとに多数公開されている。本稿ではこの「GMOアプリクラウド」について、GMOインターネット ホスティング事業部 クラウド戦略チーム マネージャー 高田幸一氏とアシスタントマネージャー 藤浪功氏に話を伺った。

ユーザーがユーザーを呼ぶ……口コミで広がる顧客基盤

GMOインターネット ホスティング事業部 クラウド戦略チーム マネージャー 高田幸一氏

「GMOアプリクラウド」のWebサイトに掲載されているサービスに対するユーザーからのコメントは、「いただいたコメントの内容について、ほとんど手を加えずにそのまま掲載させていただいています(笑)」(高田氏)とのことだが、昨年8月のサービス立ち上げからすでに200タイトル以上を運用するに至った同サービスは着実に実績を積み重ね、サービスに対する自信を深めている様子だ。

Mobage(モバゲー)やGREEののディベロッパーネットワークとの連携による「Mobage クラウド GMOプラン」「GREEクラウド powered by GMO」といったサービスを実際に提供しているということもあるが、高田氏は「開発者の間での口コミによるユーザーの広がりが、サービスの浸透に重要な役割を果たしている」という。

豊富な運用実績という大きな要素のほかに「GMOアプリクラウド」にはいくつかの訴求ポイントがあるのだが、その1つが冗長構成のロードバランサーを、すべてのユーザーが標準で利用できるということ。また、複数のアプリを一元管理できる独自開発のコントロールパネル(管理画面)や、契約に際して「最低利用期間・サーバの最低利用台数」という制約を設けていないという点もユーザーからの評価を得ている要素だ。

また、利用開始後30日間、サービスを無償で自由に使える"準備期間"が提供されるということも心強い。これは、需要予測が難しいソーシャルアプリの特性を踏まえたユーザー向けの対策であるが、さらに、アプリをリリースした後も最初の4日間は仮想サーバを20台まで無償で利用できる。

「(テレビなどで大規模なプロモーションを行なわなければ)アプリは20台程度の仮想サーバで運用可能なはずです。この(無料で利用できる)4日間のうちにキャパシティプランニングを行って、必要な仮想サーバの台数を割り出せばいいでしょう」(高田氏)

「最終離脱ページはどこ?」詳細なアクセス分析サービスも用意

GMOインターネット ホスティング事業部 クラウド戦略チーム アシスタントマネージャー 藤浪功氏

「GMOアプリクラウド」に関して、ユーザーからの評価が高いサービスの1つに「KPIレポートシステム」と呼ばれるアクセス解析機能がある。これは、PV(ページビュー)やUU(ユニークユーザー)といった基本的なデータやユーザーのプレイ時間、最終離脱ページといった詳細に至るまで、アプリのチューニングに必要とされる指標を提供するものだ。この機能はOpenSocialに準拠したプラットフォームであれば、プラットフォームをまたいだ解析の実現が可能となっている。

「mixiやMobageといったプラットフォーム側で提供されている機能でも基本的なアクセス解析は可能ですが、GMOアプリクラウドの『KPIレポート機能』ではプレイ時間比率や最終離脱ページの把握も出来ます。リリース後のチューニングはアプリの成否に関わる大事な要素ですので、アプリ運営者にとって『KPIレポート機能』は心強い存在かもしれません」(藤浪氏)

「これ以上ない」サポートの充実度も強み

高田氏が「これ以上はないでしょう(笑)」と語るサポートの充実度も「GMOアプリクラウド」の強みだという。

サービス利用前の相談からセットアップの段階においては、同社の担当者が直接ユーザーのもとに出向いて導入支援を無償で行う。これにはコントロールパネルの使い方に関するレクチャーも含まれる。もちろん、運用開始後は24時間365日、電話とメールによるサポートが提供される。

一般に「クラウド」という名称が付く場合は仮想サーバを示すが、「GMOアプリクラウド」には、仮想サーバと並んで専用サーバも同シリーズのサービスとして提供されている。従って、Webサーバは仮想サーバ、データベースサーバは専用サーバといったハイブリッド構成も可能だ。

「市場が拡大傾向にあるのは仮想サーバですが、かといって専用サーバの市場がなくなるわけではありません。パフォーマンスという要素に加え、従量課金に対するユーザーの費用面での不安を軽減できる専用サーバサービスはこれからも提供していきます」(高田氏)

米国のデータセンターで海外展開を支援

同社は今年の3月、米国(サンノゼ)にデータセンターを開設した。これはアプリ運営事業者の海外展開を後方で支える形のサービスとなる。これによって「GMOアプリクラウド」は、目的に応じて国内と米国のデータセンターを選択できるようになったわけだ。

米国のデータセンターといっても、ユーザーのコントロールパネルは日本語UIであり、サポートも日本語対応となるため、言語面でのハードルを意識する必要はない。

ちなみにこの米国のデータセンターは天然ガスを燃料とするガスタービン発電設備を備えており、「この発電設備により、非常時でも数ヵ月は稼働させることが可能だと言われています」(高田氏)とのことだ。