住友化学は4月22日、2011年5月1日付けでディスプレイ用高分子有機ELの早期事業化を図るため、「有機EL事業化室」を新設することを決定したことを発表した。
有機ELデバイスは、高精細で視認性が高く、自発光であるため高速応答性に優れているという特長のほか、消費電力が低いという利点も有する表示デバイス。高分子有機ELは、発光層の形成方法として溶液系での印刷法が適用できるため、これらの特長に加え、低コストかつ高い生産性で大型パネルの製造が可能である。
同社では、これまで開発の初期ステージとして、新規事業化を全般的に扱う「事業化推進室」において有機ELの事業化検討を行ってきたがが、市場の成長に合わせた開発の加速を図るため、ディスプレイ用途に関する有機ELの事業戦略立案ならびにマーケティング機能を独立させ、それぞれの専従組織を新設することを決めたという。
また、あわせて、デバイス開発機能についても、現在愛媛地区で実機スケールでプロセス開発を行っている「生産技術センター(デバイス開発グループ)」を「デバイス開発センター」として独立させ、有機ELデバイスの開発機能の強化を図っていくほか、照明用途に関しては、デバイス開発センターの知見、ノウハウを活用しながら引き続き事業化推進室にて所管し事業化を目指していく計画としている。
なお、同社では今後、液晶ディスプレイ用部材の事業で培ってきた組立型の加工技術や知見、人材などを総動員し、高分子有機ELの早期事業化を目指す方針を示している。