日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は4月21日、10万円を切るエントリーモデルながら省電力性を向上させたほか、遠隔操作などの機能も搭載したサーバ2製品を発表した。

今回発表されたのは、タワー型サーバ「HP ProLiant ML110 G7」および1Uラックマウントサーバ「HP ProLiant DL120 G7」の2製品。いずれも同社のサーバ製品としては初めて32nmプロセスを採用した「Intel Xeon E3プロセッサ」を搭載することが可能となっている。

Xeon E3に対応したエントリー向け1Uラックマウント型サーバ「HP ProLiant DL120 G7」

同じくXeon E3に対応したエントリー向けタワー型サーバ「HP ProLiant ML110 G7」

日本HPのエンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 サーバーマーケティング統括本部 インダストリースタンダードサーバー製品本部 本部長の橘一穂氏

日本HPのエンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 サーバーマーケティング統括本部 インダストリースタンダードサーバー製品本部 本部長の橘一穂氏は、「エントリーモデルというと、これまでは第1に低価格が求められていたこともあり、サーバの操作性やセットアップ容易性、運用可用性そして低消費電力性などの機能を省くことでそうした要求に対応してきた。しかし、今回のサーバ製品のポイントは、こうした各種の利便性として従来のミッドレンジクラスと同等の機能を搭載しながら、低価格化を実現したこと」と説明する。

これまでエントリーサーバは価格が最重要視されており、機能を省くことでそうした低価格への要求に応えていた

日本HP 取締役 副社長執行役員 パーソナルシステムズ事業統括の岡隆史氏

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の影響によって生じている電力不足の問題は、4月に入り落ち着きを見せてきているが、電力需要が高まる夏場になると、再び電力が不足する可能性が高いことが見込まれており、節電への協力が呼びかけられている。「1つのオフィスに集まって、そこで仕事をする、というワークスタイルそのものを見直すタイミングに来ている。業務の分散や在宅勤務などでも仕事をできるようにしないと、電力が足りないという状況でのワークスタイルは成立しない。今までBCPのプランなどを多くの企業でやってきているが、セキュリティの問題から会社のPCの持ち出し禁止などの制約があり、在宅勤務などは難しかった。しかし、ここに至って、そういったこともやらざるを得ない状況になっている」(日本HP 取締役 副社長執行役員 パーソナルシステムズ事業統括の岡隆史氏)とし、そうした状況のなか、自宅などでも社内にいるのと同程度のモチベーションを維持できるシステムなどの構築が必要であることを強調した。

2011年3月11日以降、求められるようになるであろうエントリーサーバ向けの要件

今回の2サーバはそうした課題を支援するために、低消費電力化はもちろんのこと、遠隔管理の機能が強化や業務用途に必要な管理機能や可用性の向上も図られており、「1ランク上の使い勝手を実現した」(橘氏)となっている。具体的には、Xeon E3としてTDP20WモデルをDL120 G7で採用したほか、シャシー内の各所に温度センサを配置、各所の温度状態を監視し、温度が上昇した特定箇所のみファンを回転させるなどの「ゾーンクーリング」を実現する「Sea of Sensor」機能を搭載。また、ML110 G7には負荷50%時で最大92%の変換効率を実現する80 PLUS GOLD認証の電源を標準で搭載。オプションでさらに変換効率が高い(最大94%)の80 PLUS PLATINUMの選択も可能となっており、これらの機能などを活用することで、3年前のモデル(DL120 G5 Xeon 3360)に比べ約2倍のワットあたり性能と、アイドル時21%省電力を実現した。

各種の低消費電力技術を取り入れることで高性能化と低消費電力化の両立を実現

さらに、遠隔管理用チップの最新世代品「iLO 3(Integrated Lights-Out)」をエントリレベルとしては初めて搭載。サーバ本体の状況に依存することなく電源のON/OFFやリセット、強制終了を遠隔地から行うことが可能となっている。また、オプションのソフトウェアを用いることで、手元のPCからリモートコンソール(リモートKVM)機能による実際にサーバの目の前に居るような操作が可能となるほか、ローカルのPCのドライブに入れたCD/DVDなどのメディアをサーバに読ませる「仮想メディア機能」などを活用することができるようになっている。

リモート管理を実現する独自チップiLO 3(第3世代品)を搭載。オプションのソフトウェア活用により、リモートKVMなどの機能も活用できるようになる

加えて、可用性や管理性の向上のために、ホットプラグHDDや冗長電源に対応したほか、インストールアシスタントツールの活用により、他モデル共通のDVDメディアでOSインストールの自動化やモデルやOSに合った最新のドライバセットの提供が可能となっている。

なお、価格はML110 G7が8万7150円から、DL120 G7が9万9750円から、となっている。

HP ProLiant DL120 G7の最下位モデル「628690-291」の仕様

HP ProLiant ML110 G7の最下位モデル「639262-295」の仕様