日本マイクロソフトは20日、「Office 365」の日本版パブリックベータプログラムの提供を開始した。提供されるベータプログラムは、25名程度までの小規模組織/SOHOでの利用を想定した「Office 365 for Small Business」と、あらゆる規模の組織に対応しフル機能を提供する「Office 365 for Enterprise」の2種類。
今後は、ベータプログラムのフィードバックを行ったのち、年内に正式サービスを開始する予定。また、5月31日までにBPOSを購入し、Office 365のパブリックベータプログラムへの登録を行うと、1ライセンスあたり3カ月分のキャッシュバック(最大25ライセンス)を行うキャンペーンも実施する。
Office 365は、現在同社が提供中の企業向けオンラインサービス「Business Productivity Online Suite(BPOS)」の機能を拡張したもので、後継サービスにあたる。BPOSを現在利用しているユーザーは、2012年9月までにOffice 365に移行する必要がある。
Office 365は、Excel、Word、Outlook、PowerPoint、OneNoteなどが含まれるOffice Professional PlusのWeb版であるOffice Web Apps、Eメールなどのメッセージングサービスを提供するExchange Online、ドキュメントの共有やポータル機能を提供するSharePoint Online、インスタントメッセージやビデオ会議機能を提供するLync Onlineで構成される。なお、Office Web Appsで提供されるのは、表示機能と簡単な編集機能が利用できる簡易版。
料金は暫定だが、「Office 365 for Small Business」が月額一人あたり600円、「Office 365 for Enterprise」は事務職を想定したPlan Eが月額一人あたり1,000円から、店頭や工場勤務者を想定したPlan Kが401円からとなっている。
「Office 365 for Small Business」は、専任のITスタッフが不要なソリューションとなっており、基本的な電子メール、予定表、およびWebサイトサービス、無料のコミュニティサポートが提供され、月単位の契約、「Office 365 for Enterprise」は、高度なIT設定と管理機能、Active Directoryとの連携、アーカイブ機能、24時間365日のIT管理者サポートがあり、年単位の契約となっている。また、、「Office 365 for Enterprise」には、デスクトップ版のOffice Professional Plusが含まれるプランもある。
日本マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 業務執行役員 本部長 ロアン・カン氏は東日本大震災の被災者に対してお見舞いを述べたあと、次のように語った。
「今回の震災では、クラウドのパワーがいかにすごいかがわかった。ユーザーからは、グローバルデータセンターでバックアップできていたよかったというコメントをいただいた。クラウドのメリットは、このような危機的な状況でもビジネスやサービスを継続でき、いかなる場所においても生産性を高めることができることだ。我々がOffice 365で提供するツールを使ってもらうことで、自宅にいても、外にいても生産性を高めることができる」。
また、日本マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 ビジネスオンライングループ部長 磯貝直之氏は、「Office 365は個人の利用に加え、クラウドを利用することによってチーム・グループでデータを共有しながら作業ができる。これまではデータを共有するにはサーバを立てる必要があったが、クラウドによってサーバを立てることなく簡単に利用でき、敷居が下がった。また、インターネットに接続できる環境であれば外出先でも利用できるので、地理的な生産性も上がり、在宅勤務でも効果を発揮する。セキュリティについては、Hotmailの実績もあり、データセンターのオペレーションで培われたノーハウを活かすことができる。また、SLA(Service Level Agreement)も設定しており、達成できない場合は返金することをうたう数少ないメーカーだ」と、Office 365が信頼性の高いサービスであることをアピールした。