東京電力は4月19日、福島第一原子力発電所のタービン建屋内に存在する多量の放射性廃液について、建屋内水位が地下1階床面となるレベルまで、プロセス主建屋にポンプを用いて移送する計画であることを発表した。
現在、福島第一原子力発電所の2号機タービン建屋には約2万5,000立方メートルの放射性滞留水が存在し、この滞留水は破損した燃料で汚染されている可能性があり極めて高いレベルである。
滞留水の一部はトレンチのひび割れを通じて放水口から流出しており、滞留水による海域への漏洩を防止するには、タービン建屋から安定して貯蔵できる数万立方メートルの容量を確保可能なタンクや建屋への移送が必要となる。
これにより、今回集中廃棄物処理建屋の4建屋(プロセス主建屋、雑固体廃棄物減容処理建屋、サイトバンカー建屋、焼却工作室建屋)のうち、貯蔵可能容量が最大のプロセス主建屋へ移送を開始することが決定した。移送量は1日当たり480立方メートル、約1万立方メートルの予定。
同社は滞留水を可能な限り減少させるため、共沈法、イオン交換法などを用いた水処理システムを6月までに構築し、そこから出てくる大量の中低レベルの滞留水を貯蔵するタンクを増設する。さらに、6月から中低レベルの滞留水を海水淡水処理装置によって塩分を除去したうえで、炉心へ注入する水を確保する。こうしたシステムにより、今年7月を目途に水のクローズドサイクルを確立する。